○北広島町埋蔵文化財取扱要綱
平成18年10月4日
教育委員会告示第2号
北広島町埋蔵文化財取扱要綱
(目的)
第1条 この告示は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の趣旨を尊重し、平成10年9月29日付け文化庁次長通知(庁保記第75号「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について」)に基づき、開発事業に伴う埋蔵文化財の取扱いに係る基本的な判断基準を定めることにより、北広島町内に存する埋蔵文化財を適切に保護し、将来への保存を図ることを目的とする。
(1) 「試掘調査」とは、埋蔵文化財の有無が地表面の観察等からでは判断できない場合に、部分的に発掘する調査をいう。
(2) 「確認調査」とは、埋蔵文化財包蔵地の範囲・性格・内容等の概要までを把握するため、部分的に発掘する調査をいう。
(3) 「発掘調査」とは、開発事業等に際し、影響を受ける埋蔵文化財を事前に発掘し、詳細な記録を作成することによって保存を図る措置を執ることをいう。
(4) 「工事立会」とは、工事の施工に際し、専門職員等が立ち会い、遺構等が確認される等のことがあった場合に、必要に応じて適切な措置を執ることをいう。
(5) 「慎重工事」とは、埋蔵文化財包蔵地において、工事を行うものであることを十分認識したうえで、慎重に施工することをいう。
(埋蔵文化財として取り扱う時代)
第3条 埋蔵文化財として取り扱う時代は、次に掲げるとおりとする。
(1) 中世までに属する遺跡については、原則として埋蔵文化財として取り扱うこととする。
(2) 近世及び明治期までに属する遺跡については、北広島町において必要なものを埋蔵文化財として取り扱うことができる。
(3) 大正期及びそれ以後に属する遺跡については、北広島町において特に重要なものを埋蔵文化財として取り扱うことができる。
(発掘調査を要する範囲の決定)
第4条 埋蔵文化財の発掘調査を要する範囲(以下「調査範囲」という。)については、これまでに行われた諸調査の成果に加え、必要に応じて試掘調査又は確認調査を実施したうえで、次のとおり決定する。
(1) 遺構が単独の場合は、その遺構を調査範囲とする。
(2) 遺構が歴史的な意味合いを持って群をなす場合は、群全体を調査範囲とする。
(3) 極少数の遺構が互いに離れて存在する場合は、その遺構の時代や歴史的意味、性格等を考慮し、各遺構のみを調査範囲とするか、又はこれらを含む区域全体を調査範囲とするかを判断する。
(4) 明確な遺構が確認できなくとも、広場等歴史的意味があると考えられる区域は、遺跡の時代や性格等を考慮し、原則として調査範囲に含めるものとする。
(5) 顕著な遺構がなくとも、出土状況に意味のある遺物が存在する区域は、調査範囲に含めるものとする。
(6) 遺物包含層のみの場合で、一定の量がまとまって存在する区域は、その時代や歴史的意味、性格等を考慮し、調査範囲とするか否かを判断する。
(7) 規格性のある区画や類似する性格、形状等の遺構が連続しており、一部の遺構の在り方から全体が推定できる場合は、次に掲げる諸要素を総合的に勘案し、調査範囲を判断する。
ア 地域性
イ 遺構の残存状況(現在の市街地との重複等)
ウ 発掘調査で得られる情報の内容
エ 考古学的情報以外の資料から得られる情報(古文書等の資料の有無)
(埋蔵文化財の取扱いの判断基準)
第5条 開発事業に際しての埋蔵文化財の取扱いについては、別表に掲げる基準に基づいて、発掘調査その他の措置を講ずるものとする。
(非常災害)
第6条 非常災害に伴う復旧工事の場合は、その緊急度に応じて、被災地住民の生存権及び生活権を確保しながら、調査者の安全を考慮し、可能な限り発掘調査を実施するものとする。
(その他)
第7条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は、教育長が別に定める。
附則
この告示は、公示の日から施行し、平成18年10月1日から適用する。
別表(第5条関係)
工事内容・種類等 | 取扱い | 指示・勧告事項 | ||
・工事により埋蔵文化財が掘削され、破壊される場合 ・掘削が埋蔵文化財に直接及ばない場合であっても、工事によって地下の埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがある場合 ・一時的な工作物の設置や盛土・埋立ての場合であっても、その重さによって地下の埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれのある場合 | 開発事業等に際し、事前に発掘調査を実施し、詳細な記録を作成する。 | 要発掘調査 | ||
・恒久的な工作物の設置や盛土・埋立てにより、埋蔵文化財と人との関係が絶たれ、当該埋蔵文化財が破壊したことと等しい状態になる場合 | ||||
道路・鉄道 | 道路・鉄道敷 | |||
河川等 | 堤防敷 | |||
低水路 | ||||
ダム | 堤体 | |||
常時満水位以下 | ||||
廃棄物最終処分場 | ||||
厚さ3m以上の恒久的な盛土・埋立て | ||||
・対象地域が狭小で通常の発掘調査が実施できない場合 | 工事の施工中に専門職員が立ち会い、遺構等が確認される等のことがあった場合には、その記録を採る等適切な措置を講ずる。 ただし、次の場合においては、発掘調査を実施するものとする。 | |||
・工事が埋蔵文化財を損壊しない範囲内で計画されているが、現地で状況を確認する必要がある場合 | ・将来において発掘調査が可能な条件が満たされない場合 | |||
・一時的な工作物の設置や盛土・埋立てで、現地で状況を確認する必要がある場合 | ・地下埋設物等の計画が明らかに想定される場合 | |||
・恒久的な工作物の設置や盛土・埋立ての場合であっても、将来的に発掘調査が可能な条件が満たされると判断される場合 | ・遺構面あるいは遺物包含層上面から厚さ30cm程度の保護層が確保できない場合 | |||
道路・鉄道 | 歩道 | ・掘削等により埋蔵文化財に影響が及ぶ部分とそうでない部分、あるいは埋蔵文化財に影響が及ぶ部分と盛土・埋立ての部分が著しく交錯する場合 | ||
植樹帯・緑地帯(路側) | ・農業基盤整備事業あるいは土地区画整備事業により整備された農道等が、将来的に市道等に認定される場合 ・現地表面に立体的に遺存する埋蔵文化財が、盛土等の施行に伴う地形の変化により、外観上所在が把握できなくなる場合 | |||
植樹帯・緑地帯(インターチェンジループ内) | ||||
道路の拡幅・改修の場合の既存道路部分 | ||||
道路構造令に準拠していない道路 | ||||
高架・橋梁の橋脚を除く部分 | ||||
河川等 | 高水敷 | |||
ダム | サーチャージ水位以下 | |||
野球場・競技場 | ||||
駐車場 | ||||
公園・緑地・墓地 | ||||
ゴルフ場・スキー場 | ||||
建築物 | ||||
農業基盤整備事業 | ||||
土地区画整理事業 | ||||
厚さ3m未満の恒久的な盛土・埋立て | ||||
・「発掘調査」「工事立会」の必要がないと考えられる場合 | 埋蔵文化財包蔵地において工事を行うものであることを十分認識したうえで、慎重に施行し、遺構・遺物を発見した場合は速やかに教育委員会に連絡をとる。 | 慎重工事 |