○北広島町生物多様性の保全に関する条例
平成22年3月26日
条例第1号
北広島町生物多様性の保全に関する条例
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本町が豊かな自然環境を有し、町民及び事業者が、その自然環境を構成する多様な生態系や野生生物種からさまざまな恵沢を享受していることにかんがみ、北広島町環境保全に関する条例(平成17年条例第148号)の本旨にのっとり、町、町民及び事業者が一体となってこれを保全し、持続可能な方法で活用することにより、本町の生物多様性を町民共有の財産として次代に承継し、もって自然と共生する町民の健康で快適な生活を将来にわたって確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「生物多様性」とは、様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することをいう。
(1) その存続に支障を来す程度にその個体の数が少ないもの
(2) その個体の数が減少しつつあるもの
(3) その個体の生息地又は生育地が消滅しつつあるもの
(4) その個体の生息又は生育の環境が悪化しつつあるもの
(5) 前各号に掲げるもののほか、その存続に支障を来す事情のあるもの
4 この条例において「生態系」とは、一定の区域に生息し、又は生育する野生生物、及びそれを取り巻く非生物環境の総体をいう。
5 この条例において「外来種」とは、野生生物が本来持つ移動能力を超えて人為により意図的又は非意図的に、過去又は現在の自然分布域以外の地域に導入された種をいう。
6 この条例において「維持・回復事業」とは、指定希少野生生物の生息又は生育、若しくは健全な生態系の成立に適した条件を積極的に整備することにより、指定希少野生生物、又は生態系の自然状態での安定的な存続を図るための事業をいう。
(財産権の尊重等)
第3条 町は、この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の向上に配慮し、並びに町土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、野生生物が置かれている状況を常に把握するとともに、生物多様性の保全のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 町は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、町民、事業者及びこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)と協働して取り組むものとする。
3 町は、生物多様性の保全の必要性について、事業者及び町民(滞在者及び旅行者を含む。以下この章において同じ。)の理解を深めるため、普及啓発等適切な措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、野生生物が生態系の基本的構成要素であることを認識し、その事業活動を行うに当たっては、事業活動が生物多様性に及ぼす影響を把握するとともに、他の事業者その他の関係者と連携を図りつつ生物多様性の保全に配慮した事業活動を行うこと等により、これに伴って生ずる希少野生生物の個体の生息又は生育環境への負荷に対し、回避、低減その他の必要な措置を講ずるよう努めるとともに、町が実施する生物多様性の保全に関する施策に協力しなければならない。
(町民の責務)
第6条 町民は、生物多様性の重要性を認識し、希少野生生物の保護に自ら努めるとともに、町が実施する生物多様性の保全に関する施策に協力しなければならない。
(生物多様性審議会)
第7条 本町における生物多様性の保全に関する重要事項について、町長の諮問に応じ、調査し、及び審議するとともに、当該事項について町長に対し、意見を述べるため、北広島町生物多様性審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(生物多様性きたひろ戦略)
第8条 町長は、生物多様性の保全と地域振興のための活用を総合的かつ計画的に推進するための基本戦略(以下「生物多様性きたひろ戦略」という。)を定めるものとする。
2 生物多様性きたひろ戦略は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 生物多様性の重要性と理念
(2) 町内における生物多様性の現状と課題
(3) 生物多様性の保全に関する目標
(4) 生物多様性の保全に関する基本構想
(5) 指定希少野生生物の選定に関する基本的な事項
(6) 指定希少野生生物の個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
(7) 希少野生生物の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
(8) 外来種対策に関する基本的な事項
(9) 維持・回復事業に関する基本的な事項
(10) 前各号に掲げるもののほか、生物多様性の保全と地域振興のための活用に関する重要事項
(11) 行動計画
3 町長は、生物多様性きたひろ戦略を定めようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、生物多様性きたひろ戦略を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、生物多様性きたひろ戦略の変更について準用する。
(開発行為における生物多様性への配慮)
第9条 町長は、生物多様性きたひろ戦略にのっとり、開発行為における生物多様性への配慮に関する指針を策定するものとする。
2 生物多様性に影響を及ぼすと認められる開発行為をしようとする者は、前項の指針に基づき、当該開発行為に伴って生ずる環境への負荷に対し、回避、低減その他の必要な措置を講じなければならない。
第2章 野生生物の種の取扱いに関する規制等
第1節 指定稀少野生生物の指定
(指定希少野生生物の指定)
第10条 町長は、希少野生生物のうち特に保護を図る必要があると認めるものを、指定希少野生生物として指定することができる。
3 町長は、指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、指定の案を告示しなければならない。
4 前項の規定による告示があったときは、利害関係人は、その告示の日から起算して14日を経過する日までの間に、町長に指定の案についての意見書を提出することができる。
5 町長は、指定の案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
6 町長は、指定をするときは、その旨を告示しなければならない。
7 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
8 町長は、指定希少野生生物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
第2節 個体等の取扱いに関する所有者の義務等
(個体等の取扱いに関する所有者等の義務)
第12条 指定希少野生生物の個体及びその器官(規則で定めるものに限る。)並びにこれらの加工品(規則で定めるものに限る。)(以下「個体等」という。)の所有者又は占有者は、指定希少野生生物を保護することの重要性を自覚し、その個体等を適切に取り扱うように努めなければならない。
(助言又は指導)
第13条 町長は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、指定希少野生生物の個体等の所有者又は占有者に対し、その個体等の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。
第3節 個体の捕獲等の禁止
(捕獲等の禁止)
第14条 指定希少野生生物の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 第16条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
(2) 人の生命又は身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合
(所持等の禁止)
第15条 前条の規定に違反して捕獲等をされた指定希少野生生物の個体等は、所持、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取りをしてはならない。
(捕獲等若しくは譲受け又は引取りの許可)
第16条 学術研究又は繁殖の目的その他規則で定める目的で指定希少野生生物の生きている個体の捕獲等若しくは譲受け又は引取りをしようとする者は、町長の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、町長に許可の申請をしなければならない。
(1) 捕獲等若しくは譲受け又は引取りの目的が第1項に規定する目的に適合しないこと。
(2) 捕獲等若しくは譲受け又は引取りによって指定希少野生生物の保護に支障を及ぼすおそれがあること。
(3) 捕獲等若しくは譲受け又は引取りをする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等若しくは譲受け又は引取りに係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
4 町長は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第1項の許可に条件を付することができる。
5 町長は、第1項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
6 第1項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして規則で定めるものは、規則で定めるところにより、町長に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
9 第1項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の規則で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第4節 土地の所有者の義務等
(土地の所有者等の義務)
第19条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、指定希少野生生物の保護に留意しなければならない。
(助言又は指導)
第20条 町長は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、土地の所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。
第3章 生態系の保全等に関する規制
(野生生物保護区)
第21条 町長は、野生生物の保護又は生態系の保全(以下「生態系の保全等」という。)のため重要と認める次の各号のいずれかに当てはまる区域を、野生生物保護区として指定することができる。ただし、法第36条第1項の規定により生息地等保護区又は県条例第19条第1項の規定により野生生物保護区に指定されている区域を、当該生息地等保護区に係る国内希少野生動植物種又は当該県指定野生生物種と同一の種を保護の対象とした野生生物保護区に指定することはできない。
(1) 指定希少野生生物、国内希少野生動植物種又は県指定野生生物種の保護のために必要があると認め,その個体の生息又は生育の状況等を勘案して当該野生生物の保護のため重要と認める区域
(2) 多種の希少野生生物が集中して生息し、又は生育する区域
(3) 地域の特色を顕著に示す野生生物が生息し、又は生育する区域
(4) 町域、国内、又は国際的な生物多様性の保全上重要な区域
3 野生生物保護区の区域内には、生態系の保全等のため特にその保全を図る必要があると認める場所として、特別保護区を定めるものとする。
4 特別保護区の区域内で、生態系の保全等のため立ち入りを制限する必要があると認める場所を、立入制限地区として定めることができる。
5 野生生物保護区の区域内で、特別保護区及び当該野生生物保護区に係る指定希少野生生物、国内希少野生動植物種、県指定野生生物種又は指定野生生物群(以下これらを総称して「指定希少野生生物等」という。)への外部からの人為による影響を緩和するため必要があると認める区域を、緩衝地区として定めることができる。
(1) 指定の区域
(2) 指定に係る指定希少野生生物等
(3) 指定の区域内における特別保護区の区域(特別保護区の区域内に立入制限地区を定める場合はその区域)、緩衝地区の区域の区分(以下「指定区分」という。)
(4) 指定の区域に係る指定区分ごとの保護に関する指針
8 町長は、指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会及び関係地域の意見を聴かなければならない。
11 町長は、指定計画案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
12 町長は、指定をするときは、その旨及び指定計画を告示しなければならない。
13 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
14 町長は、野生生物保護区に係る指定希少野生生物等の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
16 町長は、次の場合には、指定計画を変更しなければならない。
(1) 第4項の規定による立入制限区地区に係る土地の所有者又は占有者が正当な理由により立入制限の解除を求めたとき、又は立入制限地区を定める必要がなくなったと認めるとき
(2) 野生生物保護区に係る指定希少野生生物等の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により第5項の規定による緩衝地区を定める必要がなくなったと認めるとき又は緩衝地区を継続して定めることが適当でないと認めるとき
(3) その他、指定の地区の範囲を変更する必要があると認めるとき
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
(3) 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(6) 木竹を伐採すること。
(7) 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に必要なものとして町長が指定する野生生物の個体その他の物の捕獲等をすること。
(8) 野生生物保護区の区域内の湖沼若しくは湿原であって町長が指定するもの又はこれらに流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
(9) 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地の区域以外の町長が指定する区域内において、車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
(10) 第7号の規定により町長が指定した野生生物の個体その他の物以外の野生生物の個体その他の物の捕獲等をすること。
(11) 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある生物として町長が指定するものの個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと。
(12) 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものとして町長が指定する物質を散布すること。
(13) 火入れ又はたき火をすること。
(14) 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある方法として町長が定める方法によりその個体を観察すること。
2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、町長に許可の申請をしなければならない。
4 町長は、生態系の保全等のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第1項の許可に条件を付することができる。
6 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
(3) 木竹の伐採で、町長が野生生物保護区ごとに指定する方法及び限度内においてするもの
(立入制限地区の区域内における規制)
第23条 何人も、町長が定める期間内は、立入制限地区の区域内に立ち入ってはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為をするために立ち入る場合
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるものをするために立ち入る場合
(3) 前2号に掲げるもののほか、町長がやむを得ない事由があると認めて許可をした場合
(緩衝地区の区域内における行為の規制)
第24条 緩衝地区の区域内において第22条第1項第1号から第5号までに掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、町長に規則で定める事項を届け出なければならない。
2 町長は、前項の規定による届出(以下この条において「届出」という。)があった場合において届出に係る行為が第21条第7項第4号の指針に適合しないものであるときは、届出をした者に対し、届出に係る行為をすることを禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
4 町長は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なく、その旨及びその理由を通知しなければならない。
5 届出をした者は、届出をした日から起算して30日(第3項の規定により町長が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る行為に着手してはならない。ただし、町長が指定希少野生生物等の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。
6 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
(3) 前条第1項の規定による指定がされた時において既に着手している行為
2 町長は、第22条第1項若しくは第23条第4項の規定に違反した者、第22条第4項(第23条第5項において準用する場合を含む。)の規定により付された条件に違反した者、前条第1項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をした者又は同条第2項の規定による命令に違反した者がその違反行為によって指定希少野生生物等の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において、生態系の保全等のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、その違反行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて原状回復を命じ、その他指定希少野生生物等の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(実地調査)
第28条 町長は、第21条第1項の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。
3 第1項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(損失の補償)
第29条 町は、第21条第1項による指定により損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をする。
第4章 外来種対策
(侵略的外来種を放つこと等の禁止)
第30条 何人も、町内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しい影響を及ぼすおそれがある外来種(以下「侵略的外来種」という。)を、みだりに放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。
(侵略的外来種からの希少野生生物の保護)
第31条 町は、侵略的外来種のうち希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすものについて、その個体数の低減、生息地又は生育地の縮小その他希少野生生物の保護のために必要な対策を講ずるよう努めなければならない。
(外来種に関する情報の収集等)
第32条 町は、希少野生生物を保護するために、町内における外来種に関する情報の収集、整理及び分析並びに研究の推進その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(外来種に関する情報の提供)
第33条 町は、外来種が希少野生生物の個体の生息又は生育に及ぼす影響について、町民及び事業者の理解が深まるよう、その情報の提供に努めるものとする。
第5章 維持・回復事業
(維持・回復事業計画)
第34条 町長は、維持・回復事業の適正かつ効果的な実施に資するため、維持・回復事業計画を策定するものとする。
2 前項の維持・回復事業計画は、維持・回復を図るべき生態系ごとに、維持・回復事業の目標、維持・回復事業が行われるべき区域及び維持・回復事業の内容その他維持・回復事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。
3 町長は、第1項の維持・回復事業計画を策定しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、第1項の維持・回復事業計画を策定したときは、その概要を告示し、かつ、その維持・回復事業計画を一般の閲覧に供しなければならない。
(町内に住民票を有する者等からの提案)
第35条 町内に住民票を有する者及び町内に事務所又は事業所を有する法人は、規則で定めるところにより、理由を付して前条第1項の維持・回復事業計画を提案することができる。
(認定維持・回復事業等)
第36条 町は、指定希少野生生物又は指定生態系の保護のため必要があると認めるときは、維持・回復事業を行うものとする。
2 国、県及び町以外の地方公共団体は、その行う維持・回復事業であってその事業計画が第35条第1項の維持・回復事業計画に適合するものについて、町長のその旨の確認を受けることができる。
3 国及び地方公共団体以外の者は、その行う維持・回復事業について、その者がその維持・回復事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその維持・回復事業の事業計画が第35条第1項の維持・回復事業計画に適合している旨の町長の認定を受けることができる。
5 町は、第3項の認定を受けた維持・回復事業を行う者に対し、必要な支援措置を講ずるよう努めなければならない。
3 野生生物保護区の区域内の土地の所有者又は占有者は、認定維持・回復事業等として実施される維持・回復事業のために必要な施設の設置に協力するよう努めなければならない。
4 町長は、前条第3項の認定を受けて維持・回復事業を行う者に対し、その維持・回復事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
第6章 推進体制の整備等
(調査及び研究の推進)
第39条 町は、生物多様性の保全と地域振興のための活用に関する施策を策定し、及び推進するため、野生生物の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について、町民、事業者、民間団体及び関係機関の協力を得て、調査及び研究を推進するものとする。
(情報提供体制の整備)
第40条 町は、生物多様性の保全と地域振興のための活用を図るため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮し、及び情報を提供することにより生ずる生物多様性への影響を考慮しつつ、前条の規定による調査及び研究の成果その他生物多様性に関する情報を適切に提供する体制を整備するものとする。
(生物多様性に関する教育及び学習の機会の充実等)
第41条 町は、民間団体及び関係機関と連携し、生物多様性の保全の重要性に対する町民及び事業者の理解を深めるため、生物多様性に関する教育及び学習の機会の充実、広報活動その他の必要な措置を講ずるものとする。
(町民、事業者及び民間団体の自発的な活動への支援)
第42条 町は、町民、事業者及び民間団体が自発的に行う生物多様性の保全に関する活動について、助言等その他の必要な支援を行うものとする。
(人材の育成)
第43条 町は、町民、事業者、民間団体及び関係機関に対し生物多様性に関する専門的な知識に基づく適切な助言を行う能力を有する人材の育成を図るため、民間団体及び関係機関と連携し、必要な措置を講ずるものとする。
(生物多様性専門員)
第44条 町長は、生物多様性の保全に関する啓発、調査、助言等を行わせるため、生物多様性専門員を置くものとする。
(生物多様性保全巡視員等)
第45条 町長は、希少野生生物の個体の生息若しくは生育の状況又はその生息地若しくは生育地の状況の巡視等、若しくは野生生物保護区の巡視等を行う町民、事業者又は民間団体を、生物多様性保全巡視員又は生物多様性保全巡視団体として認定することができる。
(国・県及び他の地方公共団体との連携)
第46条 町は、町の区域を越えて移動を行う希少野生生物の保護その他の広域的な取組が必要とされる生物多様性の保全と活用に関する施策の策定及び実施に当たっては、国、広島県及び他の地方公共団体と連携し、その推進に努めるものとする。
2 町は、国境を越えて移動を行う希少野生生物の保護その他の国際的な取組が必要とされる生物多様性の保全と活用に関し、国、広島県及び関係機関と連携し、その保護に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第7章 雑則
2 国の機関又は地方公共団体は、第14条第2号(第22条第8項及び第24条第7項において準用する場合を含む。)に掲げる場合以外の場合に指定希少野生生物(第21条第1項第2号から第4号に当てはまる野生生物保護区の区域内にあっては、その指定に係る指定野生生物群及び指定希少野生生物)の生きている個体の捕獲等をしようとするとき、又は第22条第1項若しくは第23条第1項第3号の許可を受けるべき行為に該当する行為をしようとするときは、規則で定める場合を除き、あらかじめ町長に協議しなければならない。
第8章 罰則
第49条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第50条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(2) 第23条第1項の規定に違反した者
第51条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(3) 第24条第2項の規定による命令に違反した者
(4) 第24条第5項の規定に違反した者
第52条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
附則