○下請セーフティネット債務保証事業に関する事務取扱要領

平成25年3月27日

告示第37号

下請セーフティネット債務保証事業に関する事務取扱要領

(制度の概要及び目的)

第1条 下請セーフティネット債務保証事業(以下「債務保証事業」という。)とは、公共工事を受注・施工している中小・中堅元請建設業者(原則として資本の額若しくは出資の総額が20億円以下又は常時使用する従業員の数が1,500人以下の建設業者とし、以下「中小・中堅元請建設業者」という。)から第6条に規定する債権譲渡先(以下「債権譲渡先」という。)への工事請負代金債権の譲渡を発注者(以下「甲」という。)が認め、当該譲渡債権を担保として、債権譲渡先が中小・中堅元請建設業者(第6条を除き、以下「乙」という。)に対して融資を行うものである。債務保証事業では、債権譲渡先が金融機関から転貸融資資金を借り入れる際の債務保証を財団法人建設業振興基金が行うことができるものである。また、債権譲渡先は、融資に際し、乙の下請負人等への支払状況等を確認するとともに、万が一乙が倒産に至った場合には、債権譲渡先が乙に代わって下請負人等への支払を行う。なお、この場合、倒産とは以下の場合をいう(以下同じ。)

(1) 破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始又は特別清算開始の申立てがなされた場合

(2) 手形交換所の取引停止処分を受けた場合

(3) その他乙が所在不明等により一般的に債務の弁済ができなくなった場合

2 この要領は、債務保証事業に基づき、建設工事請負契約約款第5条第1項ただし書の規定により工事請負代金債権の譲渡を承諾する場合の事務の取扱いについて必要な事項を定めるものとする。

(債権譲渡の対象工事)

第2条 債務保証事業は、次の各号に掲げるものを除く工事を対象とする。

(1) 以下の工事を除く、債務負担行為及び歳出予算の繰越し等工期が複数年度に亘る工事

 債務負担行為の最終年度の工事であって、かつ、年度内に終了が見込まれる工事

 前年度から繰り越された工事であって、かつ、年度内に終了が見込まれる工事

(2) 甲が役務的保証を必要とする工事

(3) 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10第1項又は第167条の10の2第2項(第167条の13で準用する場合を含む。)に基づく低入札価格調査の対象となった者と契約した工事

(4) その他乙の施工する能力に疑義が生じているなど債権譲渡の承諾に不適当な特別の事由がある工事

(譲渡債権の範囲)

第3条 譲渡される工事請負代金債権の額は、本件請負工事が完成した場合においては、本件工事請負契約書に定められた検査に合格し引渡を受けた出来形部分に相応する工事請負代金額から前払金、中間前払金、部分払金及び本件工事請負契約により発生する甲の請求権に基づく金額を控除した額とする。ただし、本件工事請負契約が解除された場合においては、本件工事請負契約書に定められた出来形部分の検査に合格し引渡を受けた出来形部分に相応する工事請負代金額から前払金、中間前払金、部分払金及び本件工事請負契約により発生する違約金等の甲の請求権の基づく金額を控除した額とする。なお、契約変更により請負代金額に増減が生じた場合には、債権譲渡契約証書(様式3―①、3―②)第1条第1項第5号及び第7号の金額は変更後のものとする。また、乙と債権譲渡先との間の債権譲渡契約において、請負代金額に増減が生じた場合には乙が債権譲渡先に変更後の工事請負契約書の写しを提出して通知しなければならない旨を定めることとする。

(債権譲渡を承諾する時点)

第4条 当該工事の出来高(第2条第1号アにあっては、最終年度の工事に係る出来高)が、2分の1以上に到達したと認められる日以降とする。なお、承諾にあたっての当該工事の出来高の確認については、工事履行報告書(様式1)により行うものとする。

(承諾権限)

第5条 乙が債権譲渡を行うにあたっては、建設工事請負契約約款第5条第1項ただし書きに規定する甲の承諾を得るものとする。

(債権譲渡先)

第6条 債権譲渡先は、事業協同組合(事業協同組合連合会等を含む。以下同じ。)又は建設業の実務に関して専門的な知見を有すること、本制度に係る中小・中堅元請建設業者への貸付事業を確実に実施できる財産的基盤及び信用を有すること等の要件を満たす者として財団法人建設業振興基金が被保証者として適当と認める民間事業者であって、中小・中堅元請建設業者への資金供給の円滑化に資する資金の貸付事業(中小・中堅建設企業に対する電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。以下同じ。)の発行及び特定目的会社に対する電子記録債権発行に関する指示を含む。)を行う者とする。

(債権譲渡の対抗要件)

第7条 債権譲渡が、乙の倒産等の兆候(1回目の手形不渡等)がない有効な時期になされ、かつ、甲の有効な日付ある承諾を得ることで第三者に対抗できる。

(参考)○民法施行法(明治31年法律第11号)(抄)

第5条 証書ハ左ノ場合ニ限リ確定日付アルモノトス

一~四 (略)

五 官庁又ハ公署ニ於テ私署証書ニ或事項ヲ記入シ之ニ日附ヲ記載シタルトキハ其日附ヲ以テ其証書ノ確定日附トス

六 (略)

②・③ (略)

(債権譲渡を認めるにあたり必要とされる下請保護方策)

第8条 乙の倒産時に保護する下請負人等の範囲は、乙が本件工事請負契約を履行するために使用する下請負人(乙と直接の契約関係を有する者であって、法人、個人を問わない)及び本件工事請負契約を履行するために資材を提供する資材業者(乙と直接の契約関係を有する者であって、法人、個人を問わない)とする。

2 乙は債権譲渡先より融資を受ける際に、当該工事に関する融資申請時までの下請負人等への代金の支払状況及び当該借入金の下請負人等への支払計画を債権譲渡先に提出し、債権譲渡先において確認するものとする。

3 甲は、債権譲渡の承諾を行うにあたり、乙と債権譲渡先の間の債権譲渡契約において、原則として、次の各号のいずれかの措置が講じられていることを確認するものとする。なお、乙の倒産時等の下請保護に関しては、乙及び債権譲渡先が責任をもって行うこととし、甲は関与しないものとする。

(1) 乙が倒産により下請負人等への支払ができなくなった場合には、債権譲渡先は、債権譲渡先が甲から受け取る当該工事請負代金額の一定割合を限度として、乙に代わって下請負人等に代金を支払う旨の特約が、乙と債権譲渡先の間の債権譲渡契約において定められていること。なお、一定割合の部分は、当該工事の下請割合、下請代金支払方法等を勘案して、乙と債権譲渡先の間で任意に定めるものとし、甲は関与しないものとする。

(2) 乙が倒産により下請負人等への支払ができなくなった場合には、債権譲渡先は、債権譲渡先が甲から受け取る当該工事請負代金額から乙への貸付金を精算の上、残余の部分を乙に代わって下請負人等に支払う旨の特約が、乙と債権譲渡先の間の債権譲渡契約において定められていること。ただし、債権譲渡先の事務体制にかんがみ、当分の間は、融資時に前項の下請負人等への支払計画等の提出を行い、かつ、債権譲渡先と乙との間の債権譲渡契約において、債権譲渡先が甲から受け取る当該工事請負代金額から乙への貸付金を精算の上、乙の倒産による任意整理において、残余の部分を債権譲渡先が乙に代わって下請負人等に支払うことにつき債権者間の合意が整ったときは、当該合意に従って支払を行うこととする旨が定められている方式も認めることとする。この場合には、債権譲渡先の事務体制を整備の上、前号又は当号への移行を図るようにすることとしている。

4 前項における契約は民法(明治29年法律第89号)第537条第2項における第三者のためにする契約であり、第三者たる下請負人等が乙の倒産時に債権譲渡先より支払を受ける権利は、契約の利益を享受する意思を表示しなければ発生しない。したがって、融資時に第2項の下請負人等への支払計画等を乙から債権譲渡先に提出する際、あるいはその後下請契約を締結した後速やかに、乙と連署で下請負人等に下請債権等の受益の意思表示(様式9)を書面にて提出させることとする。なお、この場合第三者対抗要件である確定日付を取得しておくことが望ましい。

5 乙の倒産時における下請負人等の下請債権等の確認及び支払については、債権譲渡先にて債権者及び債権額を確認し、債権額に応じた按分比例その他債権譲渡先が公平と認める方法によって、下請負人等へ支払を行うこととする。

(債権譲渡が担保する範囲)

第9条 債務保証事業に係る譲渡債権は、債権譲渡先の乙に対する当該工事に係る貸付金及び乙倒産時の当該工事に係る下請負人等の債権を担保するものであって、債権譲渡先が乙に対して有するそれ以外の債権を担保するものではない。

(履行保証との関係)

第10条 保証委託契約約款等において、工事請負代金債権の譲渡につき保証人等の承諾が必要とされる場合には、乙はあらかじめ保証人等の承諾を得ることとする。

(債権譲渡の承諾の申請書類)

第11条 債権譲渡の承諾の申請を受ける場合には、次の各号に掲げる書類を乙から提出させるものとする。

(1) 債権譲渡承諾依頼書(様式2)3通

(2) 乙と債権譲渡先の調印済の債権譲渡契約証書(様式3)の写し 1通

(3) 工事履行報告書(様式1)

(4) 発行日から3か月以内の乙及び債権譲渡先の印鑑証明書 各1通

(5) 保証委託契約約款等において、工事請負代金債権の譲渡につき保証人等の承諾が必要とされている場合には、当該譲渡に関する保証人等の承諾書

(債権譲渡の承諾の処理手順等)

第12条 前条の書類の提出を受けた甲の事業担当課は、次の手順で処理を行うものとする。

(1) 事業担当課は、申請書類受理後、速やかに債権譲渡の承諾のための手続を行う。

(2) 事業担当課は、債務保証事業専用の債権譲渡整理簿(様式4)により債権譲渡の申請及び承諾状況を管理する。

(3) 事業担当課は、財政政策課の合議を経て承諾についての決裁を受ける。

(4) 事業担当課は、債権譲渡の承諾後、町長の押印がなされた債権譲渡承諾書(様式2)2通を乙に交付する。なお、確定日付印欄には、承諾日と同一の日付を記載すること。

(5) 事業担当課は、申請に係る工事が第2条に規定する対象工事に該当しない場合又は申請書類の確認により承諾を行うことが不適当と認められる場合には、承諾を行わないものとする。この場合においては、承諾を行わない旨及びその理由の決裁を受けて速やかに乙に通知するものとする。

(申請書類等の確認に際して留意すべき事項)

第13条 申請書類等の確認に際して留意すべき事項は次のとおりとする。

(1) 債権譲渡承諾依頼書(様式2)

譲渡対象債権の金額(申請時時点)が工事請負契約に基づき乙が請求できる債権金額と一致していること等を確認すること。

(2) 債権譲渡契約証書(様式3)の写し

第8条に従った下請保護方策が講じられていることを確認すること。また、第8条第3項の措置を講じるときは様式3―①が、同項ただし書による措置を講じるときは様式3―②が使用されていることを確認すること。

(3) 工事履行報告書(様式1)

工事進捗率が2分の1以上であることを確認すること。

(4) 乙及び債権譲渡先の印鑑証明書

債権譲渡承諾依頼書等の印影を照合すること。

(融資実行の報告書等の要求)

第14条 融資時の譲渡債権の担保価値を査定するには、融資時の出来高を確認する必要があるが、この場合の出来高査定は、債権譲渡先が行うこととする。

2 乙及び債権譲渡先が、甲による承諾後、金銭消費貸借契約を締結し、当該契約に基づき融資が実行された場合には、速やかに連署にて甲に融資実行報告書(様式5)を提出させるものとする。

(工事請負代金の振込先の変更)

第15条 事業担当課は、融資実行報告書(様式5)を受理した場合は、遅滞なく振込先を債権譲渡先の指定口座に変更する手続きをとること。

(債権譲渡先からの債権金額の請求)

第16条 債権譲渡を受けた債権譲渡先からの確定した債権金額の請求にあたっては、次の各号に掲げる書類を事業担当課に提出させるものとする。

(1) 工事請負代金請求書(様式6)1通

(2) 甲の押印がなされた債権譲渡承諾書(様式2)の写し 1通

(3) 債権譲渡契約証書(様式3)の写し 1通

2 債権譲渡が行われた場合には、それ以降は乙及び譲渡を受けた債権譲渡先は部分払及び中間前金払を請求することはできないものとする。また債権譲渡先は、甲による検査に合格し、引渡を行った場合にのみ、債権金額の請求ができるものである。

(工事請負代金の請求書類等の確認に際して留意すべき事項)

第17条 事業担当課が、工事請負代金の請求書類等の確認に際して留意すべき事項は次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 工事請負代金請求書(様式6)

請求金額が第3条に規定した譲渡債権の範囲並びに債権譲渡承諾依頼書及び債権譲渡承諾書において規定されている債権金額と一致していること等を確認すること。

(2) 債権譲渡承諾書(様式2)の写し

第13条第1項の規定に留意すること。

(その他)

第18条 債務保証事業は健全な建設業者が積極的に活用すべきものであるので、甲においては、債権譲渡を申請したことをもって、乙の経営状態が不安定であるとみなし、また、入札契約手続等で不利益な扱いをすることのないよう十分注意すること。なお本制度に係る債権譲渡によって乙の工事完成引渡債務が一切軽減されるものではない。

2 債務保証事業に係る融資及び地域建設業経営強化融資制度に係る融資は、いずれかを選択して利用できるものとする。

この告示は、平成25年4月1日から施行する。

(平成27年3月25日告示第15号)

この告示は、平成27年4月1日から施行する。

(令和2年4月1日告示第78号)

この告示は、令和2年4月1日から施行する。

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下請セーフティネット債務保証事業に関する事務取扱要領

平成25年3月27日 告示第37号

(令和2年4月1日施行)