○北広島町消防本部火災調査規程

平成17年2月1日

訓令第60号

北広島町消防本部火災調査規程

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 調査員の心得(第7条―第9条)

第3章 調査の実施(第10条―第12条)

第4章 現場保存(第13条―第16条)

第5章 実況見分(第17条―第21条)

第6章 質問(第22条―第27条)

第7章 資料提出(第28条―第33条)

第8章 鑑定(第34条―第37条)

第9章 原因の判定(第38条―第38条の2)

第10章 年少者に関する特則(第39条―第45条)

第11章 基本的事項の処理(第46条―第56条)

第12章 損害調査(第57条―第59条)

第13章 火災調査書類(第60条―第62条)

第14章 報告通報(第63条―第68条)

第15章 雑則(第69条―第78条)

第16章 震災時の火災調査(第79条―第83条)

第17章 委任(第84条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて実施する火災の原因及び損害の調査(以下「火災調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(用語の意義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(3) 火災調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、活用するための質問、現場見分、鑑識、実験及び照会等の一連の行動をいう。

(4) 調査員 火災調査業務に従事する消防吏員をいう。

(5) 本部調査員 消防本部(以下「本部」という。)消防課予防係員をいう。

(6) 署調査員 調査員のうち消防署長(以下「署長」という。)が指名した調査員をいう。

(7) 調査員等 調査員その他の消防吏員をいう。

(8) 調査指揮者 署長が火災調査の指揮をとることができない場合の代行者の副署長又は隊司令をいう。

(9) 火災調査協力員 法第35条の3の2に定める消防庁長官による火災原因調査に際して要請を受け、火災現場に派遣される調査員をいう。

(10) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者及び火災の発見者、通報者、初期消火者並びにその他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。

(11) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。

(12) 建物の収用物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほか、バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。

(13) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって、自動車及び原動機付自転車をいう。

(14) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。

(15) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに単独機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(16) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。

(17) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。

(18) 原野 雑草、かん木類が自然に生息している土地で人が利用しないものをいう。

(19) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

(調査の責任)

第3条 火災調査の責任は、署長とする。

2 消防長は、署長に対して、調査遂行上必要な指示を与えるものとする。

(調査員の指名及び区分)

第4条 消防長及び署長は、火災調査を実施するため、本部の職員にあっては消防課予防係の職員、消防署の職員にあっては各所属の中から調査員を指名するものとする。

2 本部調査員は、全ての管轄地域の火災調査にあたることができる。

3 署長が指名した調査員は、管轄地域内の火災調査にあたるものとする。

(調査の指揮)

第5条 火災現場における火災調査の指揮は、本部調査員にあっては消防課長が、署調査員にあっては署長がとるものとする。ただし、消防課長が調査の指揮をとれない場合は消防課予防係長がその職務を行い、署長が調査の指揮がとれない場合は副署長がその職務を行うものとする。

(調査本部の設置)

第6条 消防長は、重要な要素を含む火災で、火災の公共危険又は火災が社会に与える影響を考慮し、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置するものとする。

2 調査本部を設置したときは、消防長が本部長となり、火災調査の指揮にあたるものとする。

3 調査本部の編成その他必要な事項は、その都度消防長が定める。

第2章 調査員の心得

(出火原因調査の依頼)

第7条 消防長は、出火原因を究明することが極めて困難で、当該火災が社会に与える影響を考慮し必要があると認めるときは、専門機関又は学識経験者等に出火原因調査を依頼することができる。

(調査の適確)

第8条 調査員は、火災調査にあたっては、事実の立証を主眼とし、物的調査と人的調査とを併用して、科学的かつ合理的に判断しなければならない。

2 調査員は、火災調査にあたっては、調査方針を立てて行い、随時調査会議を開く等なるべく多くの者の意見を聴くよう努めなければならない。

3 調査員は、火災調査にあたっては、所轄警察署その他関係機関と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査にあたらなければならない。

(調査の心得)

第9条 調査員は、法第34条第2項の規定を遵守するほか、常に火災現象及び関係法令の研究に努め、調査技術の改善向上を図るとともに、物価の動きその他社会動向に留意し、火災調査能力の向上に努めなければならない。

2 調査員は、火災の原因及び損害の調査に必要な事項のみ調査することとし、民事紛争に関与してはならない。

第3章 調査の実施

(調査の種別)

第10条 火災調査は、火災原因の調査(以下「原因調査」という。)並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「損害調査」という。)に分けて行うものとする。

2 原因調査は、出火原因、延焼状況、避難状況、消防用設備等の活用状況を明らかにするために行うものとする。

3 損害調査は、火災及び消火のために受けた人的及び物的損害の状況を明らかにするために行うものとする。

(調査の着手)

第11条 署長は、管轄地域内の火災を覚知したときは、火災調査に着手しなければならない。

(調査員の要請)

第12条 署長は、火災調査にあたって消防用設備、危険物等に関する維持及び管理状況を必要とするときは、消防長に対し本部調査員の派遣を要請することができる。

2 消防長は、前項の規程により派遣の要請があったときは、本部調査員を派遣し、署長の行う火災調査に協力させるものとする。

第4章 現場保存

(現場保存)

第13条 火災現場にある調査員等は、消火活動にあたっては、細心の注意を払い、事後の調査の支障とならないように現場の保存に努めなければならない。

(現場保存区域の設定)

第14条 署長は、火災調査のため必要があると認めるときは、火災現場で必要最小限の範囲及び期間を定め、所轄警察署長と協議して、現場保存区域を設定するものとする。

(現場保存区域の監視)

第15条 署長は、前条により現場保存区域の監視をする必要があると認めるときは、所要の監視員を配置するものとする。

2 前項の規定により監視を命ぜられた者は、みだりに物件の移動又は原状を変更させてはならない。

(死者の取扱い)

第16条 署長は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに消防長に報告するとともに所轄警察署長に通報し、必要な措置を講じなければならない。

第5章 実況見分

(実況見分)

第17条 調査員等は、消火活動中における燃焼拡大状況、避難の状況等の見分に努めなければならない。

2 調査員の火災調査現場その他関係のある場所への立入りは、関係者等の立会いを得ることを原則とする。

(火災前の状況把握)

第18条 調査員は、実況見分を行うにあたっては、関係者等の説明を求め、当時の状況を明らかにしなければならない。

(出火出動時における見分調査書)

第19条 最先着隊指揮者は、出動途上及び現場到着時の燃焼並びに推移状況等を必要に応じ、別に定める出火出動時における見分調書により記載しなければならない。

2 出火出動時における見分調査書には、必要と認める図面及び写真を添付し内容を明らかにするものとする。

(写真の撮影等)

第20条 調査員は、見分内容を明らかにするため必要な写真の撮影及び図面の作成を行わなければならない。

(実況見分調査書)

第21条 調査員は、第17条から前条により実況見分をしたときは、別に定める実況見分調査書により、そのてん末を記載しておなかければならない。

2 調査員は、実況見分に際し、立会人に説明を求めた場合において特に必要と認めるときは、その供述内容を実況見分調査書に記載することができる。

3 調査員は、実況見分調査書に内容を明らかにするため、図面及び写真を添付しなければならない。

第6章 質問

(質問の原則)

第22条 消防長又は署長は、法第32条第1項の規定により調査をするため必要があるときは、調査員等に関係のある者に対して質問をさせることができる。

2 調査員等は、質問を行うにあたっては、強制的手段を避け、その場所及び時期などを考慮して、被質問者の任意の供述を得るようにしなければならない。

(誘導質問の排除)

第23条 調査員等は、質問を行うにあたっては、自己が期待し又は希望する供述を被質問者に暗示するなどの方法により、みだりに供述を誘導してはならない。

(伝聞の排除)

第24条 調査員等は、質問を行うにあたっては、被質問者が直接経験した事実の供述を得るように努めなければならない。

2 調査員等は、被質問者の伝聞にわたる供述で、重要な事案に係わるときは、その事実を直接経験した者に対し、更に質問を行うよう努めなければならない。

(供述の矛盾)

第25条 調査員等は、質問を行うにあたっては、特に供述の矛盾又は変化に注意し、これを端緒として、更に質問を行うよう努めなければならない。

(質問調査書)

第26条 調査員等は、質問により知り得た事項で調査上必要と認めるものは、別に定める質問調査書により、録取しなければならない。

2 調査員等は、前項の質問調査書を、供述者に閲覧させ又は読み聞かせにより確認させ、その内容について訂正、削除及び追加等の申立てがあった場合、当該申立ての内容を質問調査書に記載しなければならない。

(通訳人の介助)

第27条 調査員等は、通訳人の介助を得て質問を行った場合は、通訳人の介助を得て質問調査書を閲覧若しくは読み聞かせにより確認させ、その内容について訂正、削除及び追加等の申立てがあった場合、当該申立ての内容を質問調査書に記載しなければならない。

第7章 資料提出

(任意提出)

第28条 消防長又は署長は、関係者に対して火災調査を行うために必要と認められるものの任意提出を求め、これを資料としなければならない。

(資料提出命令等)

第29条 消防長又は署長は、前条の任意提出によりがたい場合は、法第32条第1項又は、法第34条第1項の規定に基づき関係者又は火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し、若しくは輸入した者に対して別に定める資料提出命令書により、資料の提出を命じ、報告を求めるものとする。

(資料提出承諾)

第30条 消防長又は署長は、前2条により資料の提出又は報告を求めた場合は、別に定める資料提出書又は別に定める鑑定処分承諾書により、資料提出承諾及び所有権放棄の有無を確かめておかなければならない。ただし、第28条によって提出を求める場合で、特に必要がないと認められるときは、この限りでない。

(保管書)

第31条 消防長又は署長は、前条の資料提出書又は鑑定処分承諾書において、提出者が所有権を放棄しなかった場合は、提出者に対して別に定める資料保管書を交付しなければならない。

(資料採取状況の記録)

第32条 調査員は、第28条及び第29条により資料提出を求めた場合は、その資料の発見された状況その他必要と認める事項を実況見分調査書に記載し、必要に応じて写真を撮影しておかなければならない。

(官公署への照会)

第33条 消防長又は署長は、法第32条第2項の規定により、関係のある官公署に対し、別に定める火災調査関係事項照会書により必要な事項の通報を求めることができる。

第8章 鑑定

(鑑定の嘱託)

第34条 消防長又は署長は、火災調査のため必要があるときは、官公署又は学識経験者に鑑定を嘱託することができる。

(民間会社等への照会)

第35条 消防長又は署長は、出火原因となったと推定される器具等で原因調査のため必要がある場合は、製造業者等に意見を求めることができる。

(鑑定の承諾)

第36条 消防長又は署長は、第31条により資料保管書を交付した資料の鑑定を行う場合は、提出者から鑑定処分承諾書を得て行わなければならない。ただし、第30条により鑑定処分承諾書を得た場合で特に必要がないと認められる場合は、この限りでない。

(鑑定嘱託書)

第37条 消防長又は署長は、鑑定の嘱託を行うときは、別に定める鑑定嘱託書により行わなければならない。

第9章 原因の判定

(調査結果の検討)

第38条 原因調査を行った調査員は、実況見分、質問及び資料等により知り得た事実を総合して、火災原因を判定しなければならない。

(火災原因判定書)

第38条の2 前条により火災原因を判定したときは、必要に応じ別に定める火災原因判定書を作成しなければならない。

第10章 年少者に関する特則

(準拠)

第39条 年少者が関係する火災調査については、他の法令等に定める場合を除くほか、この章の規定に基づき行わなければならない。

2 この章にいう年少者とは、満18歳未満の者をいう。

(処遇)

第40条 年少者が関係する火災調査を行うに当たっては、年少者の将来を考慮し、温情と理解をもってこれに当たらなければならない。

(年少者の立会い)

第41条 年少者を実況見分の立会人としてはならない。

(年少者の質問)

第42条 年少者に対する質問は、必ず立会人をおいて行わなければならない。

(特例)

第43条 前2条の規定にかかわらず火災調査を行うため、特に必要があると認めるとき又は年齢、心情、家庭環境その他諸般の事情を考慮して、支障がないと認めるときは、一般の例により行うことができる。

(氏名告知の禁止)

第44条 年少者の関係する火災情報を、新聞その他の報道機関から求められた場合は、その年少者の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

(準用)

第45条 心神そう失、心神こう弱の状況にある者又は聴覚障害者及び音声機能又は言語機能障害者等の関係する火災調査は、この章の規定を準用する。

第11章 基本的事項の処理

(火災の件数)

第46条 1件の火災とは、一つの出火点から拡大したもので出火から鎮火に至るまでをいう。

2 飛び火による火災が、消防隊の現場引揚げ後に発生したときは、当該火災は別件の火災とする。

3 出火点が2箇所以上ある火災のうち、次に掲げるものは、1件の火災として取り扱う。

(1) 同一人又は二人以上の者が行った連続行為による放火又は火遊びによる火災

(2) 同一の漏電による出火の火災

(3) 地震、落雷等による出火の火災

(火災損害の区分)

第47条 火災の損害は、次に定めるところによる。

(1) 焼き損害 火災により焼損した物件の損害をいう。

(2) 消火損害 放水、破壊等の消火活動により生じた物件の損害をいう。

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害で、焼き損害及び消火損害以外の損害をいう。

(火災種別)

第48条 火災の種別は、次に定めるところによる。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災 次に区分する自動車車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

 自動車車両とは、原動機によって運行することができる車両をいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

2 火災の種別が2以上複合するときは、焼き損害額を比較し、その損害額の大きいものの種別とする。ただし、その態様により焼き損害額の大きいものの種別とすることが適当でないと認められるときは、この限りでない。

3 前項の焼き損害額が同額又は算定されない場合は、火元の火災の種別による。

4 爆発損害のみの火災種別は、前3項に準ずる。

(焼損棟数及び損害棟数)

第49条 焼損棟数は、焼き損害を受けた建物の棟数で、損害棟数は、爆発現象により爆発損害を受けた建物の棟数をそれぞれ算定する。

2 水損、破損及び汚損の場合は、前項に準ずるものとする。

(焼損程度)

第50条 建物の焼損程度は、次に定めるところによる。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又は評価額の70パーセント未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。

(破損程度)

第51条 爆発現象による破損程度は、次に定めるところによる。

(1) 全壊 建物の破損した部分の床面積が、当該建物の延べ床面積の70パーセント以上のもの又は当該建物の主要構造部の損害額がり災前の建物の評価額の50パーセント以上のものをいう。

(2) 半壊 建物の破損した部分の床面積が、当該建物の延べ床面積の20パーセント以上70パーセント未満のもの又は当該建物の主要構造部の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上50パーセント未満のものをいう。

(3) 一部損壊 前2号に該当しないものをいう。

(焼損床面積等の算定)

第52条 建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定するものとする。

(世帯数の算定)

第53条 世帯数の算定は、一般世帯及び施設等の世帯に区分して算定するものとする。

(世帯のり災程度)

第54条 世帯のり災程度の区分は、次に定めるところによる。

(1) 全損 建物(収容物を含む。以下半損、小損において同じ。)の火災損害額が、り災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。

(2) 半損 建物の火災損害額が、り災前の建物の評価額の20パーセント以上で全損に該当しないものをいう。

(3) 小損 建物の火災損害額が、り災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。

(損害額の算出基準)

第55条 損害額の算出基準は、別に定める火災調査事務取扱要領で定めることとする。

(火災による死傷者)

第56条 火災による死傷者は、火災及び消火活動、避難行動その他の行動等により火災現場において火災に直接起因して死亡又は負傷した者をいう。

2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡した場合には、火災による死者とする。

3 火災による負傷者のうち、48時間を超えて30日以内に死亡した場合は、30日死者(統計上の参考値)とする。

4 負傷程度については、次に定めるところによる。

(1) 重症 傷病の程度が3週間の入院加療を必要とするもの以上をいう。

(2) 中等症 傷病の程度が重症又は軽症以外のものをいう。

(3) 軽症 傷病の程度が入院加療を必要としないものをいう。

第12章 損害調査

(損害調査の対象)

第57条 損害調査は、火災報告取扱要領(以下「取扱要領」という。)に基づき、次に掲げるものについて行うものとする。

(1) 火元建物の焼損床面積及び焼損表面積

(2) 延焼建物の焼損床面積及び焼損表面積

(3) 焼損棟数及び損害棟数

(4) り災世帯及びり災人員

(5) 死者(30日死者を含む。)及び負傷者

(6) 林野の焼損面積

(7) 車両、船舶及び航空機の焼損数及び車両等数

(8) 損害額

2 損害額の算出は、取扱要領第2の4(損害額)の区分及び算出方法並びに火災損害申告内容その他収集した確実な調査資料に基づき、算出する。

3 損害額の査定は、原則として別に定める損害査定書を用いるものとする。

(り災の報告)

第58条 署長は、損害額決定のための資料として、関係者から損害の程度について報告を求めるときは、法第34条第1項の規定により別に定める火災損害申告書を提出させるものとする。

(損害調査書)

第59条 調査員は、損害調査結果を次に掲げる損害調査書に基づき、作成するものとする。

(1) 建物火災

り災棟別ごとにり災建物損害調査書及びり災世帯及びり災した者ごとにり災物件損害調査書

(2) 林野火災及びその他の火災

り災林野又はり災物件の所有区分ごとにり災林野・その他の損害調査書

(3) 車両、船舶及び航空機火災

り災車両、船舶及び航空機ごとにり災車両・船舶・航空機損害調査書

第13章 火災調査書類

(火災調査書)

第60条 火災調査書には、この規程により作成した火災調査書類(以下「調査書類」という。)のうち、次に掲げるものを添付しなければならない。

(1) 火災原因判定書

(2) 出火出動時における見分調査書(図面及び写真添付)

(3) 実況見分調査書(図面及び写真添付)

(4) 質問調査書

(5) 鑑定書

(6) 参考資料

(7) 死傷者の調査書

(8) 防火対象物等の調査書

(9) り災状況調査記録票

(10) 損害調査書

(11) 損害査定書

(12) 火災損害申告書

(書類の省略及び併合)

第61条 署長は、前条の調査書類のうち必要としない書類は、省略することができる。

2 2以上の火災が相互に関連あるため、一括して処理することが適当と認めるときは、それらの火災の調査書類を合わせて、作成することができる。

(火災調査書類の作成基準)

第62条 火災調査書類の作成基準は、次に掲げる区分によるものとする。

(1) 1号処理 次のいずれかに該当する火災

 建物火災で焼損面積が10平方メートル以上生じた火災

 林野火災で焼損面積が10ヘクタール生じた火災

 重要な要素を含む火災(ぼやを除く。)

 死者の合計が10名以上生じた火災

 爆発火災で損害棟数が5棟以上生じた火災

(2) 2号処理 次のいずれかに該当する火災

 建物火災(1号処理に該当しない火災でぼや火災を除く。)

 林野火災(1号処理に該当しない火災)、車両、船舶、航空機火災で損害額が計上された火災

 爆発火災(1号処理に該当しない火災)

 出火原因が放火又は放火の疑いによる火災(損害額が計上される火災)

 出火原因決定の区分が推定又は不明の火災(枯草、ごみ等のその他の火災は除く。)

(3) 3号処理 次のいずれかに該当する火災

 建物火災(ぼや火災)

 1号処理、2号処理及び4号処理に該当しない火災

(4) 4号処理 その他火災で損害額が計上されない火災(負傷者が生じた火災は除く。)

2 2号処理に該当する火災のうち署長が必要と認めた場合は、1号処理することができる。

3 3号処理に該当する火災のうち、署長が必要と認めた場合は、2号処理することができる。

第14章 報告通報

(即報)

第63条 署長は、第11条第1項により火災調査を行ったときは、別に定める火災調査即報書により、その概況を直ちに消防長に即報しなければならない。

(報告及びその期限等)

第64条 署長は、第11条第1項により火災調査を行ったときは、建物火災で焼損床面積又は死傷者を生じたものにあっては、火災調査に着手した翌日から起算して60日以内に、当該火災以外の火災にあっては30日以内に、第60条により作成した火災調査書類を消防長に報告しなければならない。ただし、第62条第1項第4号及び消防長が特に認めるものについての報告は、この限りでない。

2 前項に定める期限は、鑑定、資料収集等を要するもので、消防長が特に必要と認めた場合は、この限りでない。

3 隊司令又は出張所長は、火災調査書の作成について適切な進行管理を行うとともに必要に応じて助言、指導を行わなければならない。

(火災調査書の審査等)

第65条 署長は、火災調査書を審査し、必要があるときはこれを指導し、変更し、又は再調査を指示することができる。

(火災調査書の保存)

第66条 審査等が終了した火災調査書は、電子媒体により保存、管理するものとする。

(火災統計、県報告)

第67条 消防課長は、取扱要領第1の8(火災報告の報告要領)により、火災報告、死者の調査表を火災報告オンラインシステムにより報告しなければならない。

(火災即報)

第68条 署長は、管轄地域において発生した火災が、次の各号いずれかに該当する場合は、速やかに消防長に報告しなければならない。

(1) 建物火災

 特殊防火対象物で死者の発生した火災

 国指定重要文化財又は特定違反対象物の火災

 建物焼損延べ面積3,000平方メートル以上と推定される火災

 損害額1億円以上と推定される火災

(2) 林野火災

 焼損面積10ヘクタール以上と推定される火災

 空中消火を要請した火災

 住宅等へ延焼するおそれがある等社会的に影響が高い火災

(3) 交通機関の火災のうち船舶、航空機、自動車の火災で次に掲げるもの

 航空機火災

 トンネル内車両火災

 社会的影響度が高い船舶火災

(4) その他特殊な原因による火災、特殊な態様の火災等消防上特に参考となる火災

第15章 雑則

(火災調査結果の回答)

第69条 署長は、官公署等から火災調査結果について照会を受けたときは、回答することができる。

2 署長は、前項の規定により回答したときは、照会書等の写しを添えて消防長に報告しなければならない。

(承認)

第70条 署長は、前条により調査書類を送付する場合は、消防長の承認を得なければならない。

(調査書類の保存)

第71条 この規定により作成した調査書類の原本は、全て署長がこれを保存しなければならない。

2 署長は調査書類の原本を電子媒体により集中管理するものとする。

(認定書の送付)

第72条 官公署から調査結果につき照会を受けたときは、別に定める認定書を送付することができる。

(謄本等の送付)

第73条 消防長又は署長は、官公署から調査書類の送付を依頼されたときは、調査書類の謄(抄)本又は写しを送付することができる。

2 消防長又は署長は、前項の規定にかかわらず、特に必要があると認める場合は、原本を送付することができる。

(承認)

第74条 署長は、前2条により調査書類を送付する場合は、消防長の承認を得なければならない。

(火災原因分類)

第75条 火災原因は、発火源、経過、着火物をもって、その火災原因とし、その分類は取扱要領によらなければならない。

(火災の事後聞知)

第76条 署長は、関係のある者から火災があった旨、事後の届出があったときは、この規程に準じて調査し、処理しなければならない。

(り災の証明)

第77条 署長は、り災者からり災証明の申請があったときは、その申請の範囲に限り火災調査の結果又は立証し得る事項について、別に定めるり災証明書により交付することができる。

(その他の災害)

第78条 この規程は、第2条に定めるり災に該当しない現象についても準用する。

第16章 震災時の火災調査

(組織的な調査体制の執行)

第79条 消防長は、地震により発生した火災(以下「震災に伴う火災」という。)の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。

(情報収集)

第80条 消防長及び署長は、地震発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集等に努めなければならない。

(火災調査活動)

第81条 署長は、震災に伴う火災の調査については、り災証明書発行のための損害状況調査を優先するとともに、出火原因、延焼拡大状況等の記録に重点をおいた火災調査活動を実施するものとする。

(調査書類の作成)

第82条 署長は、震災に伴う火災においては、調査書類の一部を省略することができる。

(り災証明事務の対応要領)

第83条 署長は、震災時における火災調査結果に基づき、行政区域の区長と連携して、迅速なり災証明事務の対応に務めるものとする。

第17章 委任

(委任)

第84条 この規定の施行に関し必要な事項は、署長が定める。

この訓令は、平成17年2月1日から施行する。

(平成29年9月11日訓令第6号)

この訓令は、平成29年10月1日から施行する。

(令和5年3月27日訓令第5号)

この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

北広島町消防本部火災調査規程

平成17年2月1日 訓令第60号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第11編 防災・消防/第2章 防/第3節 火災予防等
沿革情報
平成17年2月1日 訓令第60号
平成29年9月11日 訓令第6号
令和5年3月27日 訓令第5号