○障害を理由とする差別の解消の推進に関する北広島町教育関係職員対応要領

平成28年6月27日

教育委員会告示第3号

障害を理由とする差別の解消の推進に関する北広島町教育関係職員対応要領

(目的)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、教育関係職員(北広島町教育委員会事務局の組織に関する規則に定める事務局、町立小中学校及び学校以外の教育機関に勤務する職員。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要領において「教育委員会」とは、北広島町教育委員会事務局の組織に関する規則に定める事務局、町立小中学校及び学校以外の教育機関をいう。

2 この要領において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、概念その他一切のもの。以下同じ。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、直ちに法に反すると判断されるものではないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)

(合理的配慮の提供)

第4条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。

(管理者の責務)

第5条 管理者(教育委員会の管理職をいう。)は、前2条の趣旨を踏まえ、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その管理している職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、管理している職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 管理者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(相談体制の整備)

第6条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、相談窓口を教育委員会学校教育課、生涯学習課に置く。

2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、障害の状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に障害の特性に応じて必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

3 相談者の用意した意思疎通のための器具や手段については、原則として利用を認めるとともに、相談者の意思疎通を補助し、又は支援する同伴者については、原則として同席を認めるものとする。

4 相談窓口に寄せられた相談等は、相談者の意向やプライバシーに配慮しつつ、関係者等において、情報共有を図り、早期の解決に努めるものとする。

5 相談窓口は、プライバシーに配慮し、寄せられた相談等を以後の相談等において活用するとともに、相談体制の充実に努めるものとする。

(対応措置)

第7条 相談窓口に寄せられた相談等について、事実関係の調査及び確認の結果、職員が障害者に対して不当な差別的取扱いをした、又は、過度な負担がないにもかかわらず合理的配慮の提供をしなかったと確認された場合は、事案の内容や程度に応じ、懲戒処分を含む人事管理上の措置に付されることがある。

(研修・啓発)

第8条 教育委員会学校教育課、生涯学習課において、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職位や業務に応じて必要な研修・啓発を行うものとする。

2 特に、新たに職員となった者に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに管理者となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、必要な研修を実施するものとする。

3 職員に対し、研修資料及び啓発資料により、障害の特性や多様性を理解させ、障害者に適切に対応するよう、意識の啓発を図るものとする。

この要領は、平成28年7月1日から施行する。

別紙

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。教育委員会においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。なお、理解が得られない場合には、相談窓口への相談を考慮することが望ましい。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(1) 障害を理由に、窓口対応を拒否し、又は対応の順序を後回しにする。

(2) 障害を理由に、書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウムへの出席等を拒む。

(3) 障害を理由に、施設等やそれらのサービスの利用をさせない。

(4) 障害を理由に町立学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒み、また、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。

(5) 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外し、評価において差をつける。

(6) 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

(7) 身体障害者補助犬の同伴を拒否する。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、要約筆記、筆談、口話、絵カード、コミュニケーションボード、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳等の通訳を介するものやICT機器によるものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 教育委員会がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。なお、理解が得られない場合には、相談窓口への相談を考慮することが望ましい。

1 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か)

2 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

3 費用・負担の程度

第6 合理的配慮に関する留意点

児童及び生徒に対する合理的配慮の提供については、「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成27年文部科学省告示第180号)別紙2「学校教育分野」の2(1)において、主として以下の点に留意することが示されている。

ア 合理的配慮の合意形成に当たっては、権利条約第24条第1項にある、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要である。

イ 合理的配慮は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じ、設置者・学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学及び高等専門学校を除く。)をいう。以下同じ。)及び本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが重要である。

ウ 合理的配慮の合意形成後も、児童及び生徒一人一人の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要である。

エ 合理的配慮は、障害者がその能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムの理念に照らし、その障害のある幼児、児童及び生徒が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要である。例えば、個別の教育支援計画や個別の指導計画について、各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど、PDCAサイクルを確立させていくことが重要である。

オ 進学等の移行時においても途切れることのない一貫した支援を提供するため、個別の教育支援計画の引継ぎ、学校間や関係機関も含めた情報交換等により、合理的配慮の引継ぎを行うことが必要である。

第7 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。

なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

1 合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例

(1) 災害時の警報音、緊急連絡等が聞こえにくい障害者に対し、職員が直接災害を知らせたり、緊急情報・館内放送を視覚的に受容することができる警報設備・電光表示機器等を用意したり、掲示板・手書きのボード等を用いて分かりやすく案内したりする。

(2) 聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。

(3) 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、介助する位置(左右・前後・距離等)について、障害者の希望を聞いたりする。

(4) 保護者、支援員等の教室への入室、授業や試験でのパソコン入力支援、移動支援、待合室での待機を許可する。

(5) 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。

(6) 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。

(7) 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

(8) 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。

(9) 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。

(10) 施設内の点字ブロック上に障害物を置かない。

2 合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例

(1) 点字、拡大文字、要約筆記、筆談、絵カード、コミュニケーションボード、読み上げ、手話等のコミュニケーション手段(ICT機器によるものを含む。)を用いる。特に、意思疎通が不得意な障害者に対しては、絵カード、コミュニケーションボード等を活用して意思を確認する。

(2) 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。また、その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

(3) 知的障害のある利用者等に対し、抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉を使うこと。例えば、サービスを受ける際の「手続」や「申請」など生活上必要な言葉等の意味を具体的に説明して、当該利用者等が理解しているかを確認する。

(4) 子供である障害者又は知的障害、発達障害、言語障害等により言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な障害者に対し、絵や写真カード、コミュニケーションボード、タブレット端末等のICT機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援する。

(5) 比喩表現等の理解が困難な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。

(6) 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

(7) 視覚障害のある出席者に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

(8) 駐車場、会場入口などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。

(9) 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

(10) 障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

(11) 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある出席者や知的障害のある出席者に対し、ゆっくり、誰が話しているのか分かるように挙手して話す、一人ずつ話すなど丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。

(12) 会議の進行に当たっては、出席者の障害の特性に合ったサポートを行う、また介助者の同席を認めるなどの可能な範囲での配慮を行う。

3 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例

(1) 事務手続の際に、職員や教員が必要書類の代筆を行う。

(2) 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や椅子を用意する。

(3) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張のため、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を用意する。

(4) 移動に困難のある障害者を早めに入場させ椅子に誘導したり、車椅子を使用する障害者の希望に応じて、決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにする。

(5) 入学試験や検定試験において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字や拡大文字、音声読み上げ機能の使用等を許可する。

(6) 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡す。

(7) 聞こえにくさのある児童生徒等に対し、外国語のヒアリングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意する。

(8) 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童生徒等に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意する。

(9) 肢体不自由のある児童生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可する。

(10) 日常的に医療的ケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

(11) 慢性的な病気等のために他の児童生徒等と同じように運動ができない児童生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意したりするなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。

(12) 治療等のため学習できない期間が生じる児童生徒等に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫する。

(13) 読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問による学習評価を行ったりする。

(14) 発達障害等のため、人前での発表が困難な児童生徒等に対し、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行う。

(15) 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童生徒等のために、能動的な学習活動などにおいてグループを編成する時には、事前に伝えたり、場合によっては本人の意向を確認したりすること。また、こだわりのある児童生徒等のために、話し合いや発表などの場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保したり、個別に対応する。

(16) 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。

(17) 会議、研修、講演などでは、スクリーン、手話通訳者、要約筆記、板書が良く見える場所に椅子を確保し、手話通訳は話し手の横で通訳するようにする。また手話通訳が見えるように通訳台を準備する。

(18) 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

(19) 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者及びコミュニケーションを支援する者(手話通訳者等)の同席を認める。

(20) 電話による申し込みや本人確認において、電話ができない聴覚障害者のために、ファックスやメールなどの方法も認める。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する北広島町教育関係職員対応要領

平成28年6月27日 教育委員会告示第3号

(平成28年7月1日施行)