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ええね!再エネ ~エネルギーとわたし~Vol.04

印刷用ページを表示する更新日:2026年10月1日更新

広島イーグル株式会社 執行役員 大石 俊也 さん

地域に根ざし、課題を力に変えるモノづくり                   ~自家消費型太陽光発電とエネルギー管理で挑む、広島イーグルの目指す持続可能な挑戦~

​​ 持続可能な地域社会を目指す北広島町。町内の企業では、どのような想いと工夫で環境問題に向き合っているのでしょうか。第4回となる今回は、自動車部品などの精密加工を手がける広島イーグル株式会社の執行役員・大石さんにお話を伺いました。再エネ導入の裏側から、地域に対する想いまで、大石さんのリアルな言葉でお届けします。

大石様

自家消費型太陽光発電の導入へ。環境とコストの両立を目指した提案

 実は、私たち広島イーグルが環境対策や再エネ導入の取組に力を入れ始めたのは、綺麗事ばかりではなく「切実な経営課題」があったからなんです。

 数年前、広島イーグルはエネルギー使用量の多さから、Co2排出における「特定事業所」に指定されました。これは「5年の間、毎年1%ずつCo2排出量を減らしていかなければならない」という厳しい目標が課されることを意味します。この指定を一刻も早く解除することが、当時の会社にとって最大の経営目標でした。

 そこで最初に始めたのが、太陽光発電設備の導入です。ただ、当時のイーグル工業グループには「うちはモノを作って売る会社であって、電気を売る会社ではない」という暗黙の共通認識がありました。当時はまだFit(固定価格買取制度)(※1)による売電のイメージが強かったため、グループ内では太陽光発電の導入に対して慎重な風潮があったんです。そこで、初期投資なしで再生可能エネルギー電力を調達できる、PPA(※2)の仕組みを利用して導入を検討することにしました。「決して電気を売って利益を得るのではない。今ある工場の屋根を使って、自分たちが使うための電気を作る自家消費型の発電なんです」と社内を説得して回りました。会社が抱えているCo2削減という環境課題の解決と、コストカットという経済的メリット。この両方を提示することで、太陽光パネルを設置することが決まりました。

※1 再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が一定期間・国が定めた固定価格で買い取る制度

※2 需要家がPPA事業者と電力売買契約を結び、再生可能エネルギーを調達する仕組み。需要家の屋根や敷地に初期投資ゼロで太陽光発電設備などを設置・運用し、そこで発電した電力を需要家が購入して使うことができる。

 

工夫を重ねた設置工事と補助金の活用で「特定事業所」を解消

 ただ、太陽光パネルの設置も一筋縄ではいきませんでした。本当は一度目の工事で屋根全体にパネルを載せる計画でしたが、強度の関係で一部の建屋の構造がパネルの重量に耐えられないことが判明。Co2排出量削減という目標もあり、問題ない部分のみに先にパネルを設置(第1期工事)し、構造を補強したのちに2回目の工事を行いました。

 令和7年度の北広島町ゼロカーボンタウン推進加速化事業補助金などをタイミングよく組み合わせることもでき、費用を抑えつつ環境負荷を減らし、「環境にもいいし、コストにも優しい」という成功体験が得られたことで、社内の再エネ・省エネに対する空気感も変わり、その後の取組が進む大きな原動力となりました。このような取組もあって、目下の課題であった特定事業所から解除されました。

広島イーグル様 第2工事後の写真

情勢の変化に向き合いながら、全社で省エネに取組む姿勢

 特定事業所を解除されたからといってこの問題が終わったわけではありません。Co2排出量が半分になったわけではないですし、工場を動かしている以上、エネルギーは日々使い続けています。

 近年、自動車業界は大きな波に直面しています。一時期はEv化(電動)へのシフトやコロナ禍で生産量が減少し、それに伴って皮肉にもCo2の排出量も減っていた時期もありました。しかし最近では、世界情勢もありEv化の速度が少し落ち着き、再びガソリン車の部品需要が盛り上がってきています。会社としては仕事が増えるのは大変ありがたいことですが、エネルギー管理の面では厳しい局面に立たされています。

 精密加工を行う工場には金属の伸縮を防いで品質を維持するため、全館空調が入っています。精密部品を作る以上、温度を一定に保つことは必須であること、さらに社員が快適に働く環境を整える意味も含めて、弊社ではエアコンの設定温度を一括制御しています。現場には、熱中症対策には万全を期しつつも、使用していない場所についてはこまめに消すように呼びかけています。こうしたやり取りを通じて、社員一人ひとりの省エネ意識は確実に高まっていると感じています。このほかにも工場の照明をLED化するなど、エネルギーの管理に気を配り、Co2排出量の削減に取り組んでいます。

 

必要とされる会社を目指して環境管理と地域貢献を徹底

 グループ全体の方針として「地域を大切に」という言葉がありますが、最も地域に密着し、地域を愛しているのは私たち広島イーグルだと自負しています。例えば、会社の制服のデザインには北広島町のイメージキャラクター・花田舞太郎を取り入れています。町のポロシャツに自社で追加縫製をして社内限定のオリジナルウェアとして販売しているのですが、たくさんの社員が制服を愛用してくれています。「町への愛着」が自然な形で社内に浸透している証拠だと嬉しく思っています。

 また、広島イーグルでは地元の子どもたちを対象とした工場見学も積極的に受け入れています。今の若い子たちはシャイな子も多く、見学中はあまり大きなリアクションをしてくれませんが、後でレポートを読ませてもらうと、「工場なのにこんなに涼しいんですね」「こんなに精密な作業をしているんだ」と、私たちが伝えたかった環境への配慮や品質へのこだわりをしっかり感じ取ってくれていて、こういった声をもらえることは大きなやりがいになっています。

 私たちが大切にしている根本の考え方は、「北広島町から反発されるような会社であってはならない」ということです。この町で事業をさせていただいている以上、どんな形でも地域に貢献していきたい。そしてその姿勢が、めぐりめぐって地元の採用や会社の信頼に繋がっていく。「想いは循環するものだ」と考えています。

 「表では環境に配慮していますと言いながら、実は地域環境を悪化させているような工場」であってはいけません。北広島町は自然豊かな町で、工場のすぐ近くには川が流れています。モノづくりをする以上、どうしても廃棄物は生じますが、環境汚染に繋がらないよう緊急事態の対応訓練を徹底し、神経をとがらせてリスクマネジメントを行っています。環境管理と地域貢献は、絶対に切り離すことはできないのです。

 

培ってきた技術の応用と地域へのメッセージ

 広島イーグルは自動車部品の製造で培ってきた独自の精密加工技術を応用し、これからは半導体、航空・宇宙産業用の部品といった新たな成長分野へも事業を広げていきます。もちろん、これからも自動車部品は作り続けていきますが、特定の業界だけに頼らない強い経営体制をつくっていくことが重要だと考えています。ゆくゆくは、地域の産業フェアなどで、もっと面白いものをお見せしたいですね。

 会社の見学は、いつでもオープンに受け入れていますので、興味を持ってくださった方は、ぜひお気軽に遊びにいらしてください。

舞太郎

広島イーグル株式会社

工場内道路

VB工程写真

情熱と技術で地域を照らす、広島イーグルの描く未来

 広島イーグル株式会社は、北広島町新氏神に拠点を置き、プレス技術、切削技術、組み立て技術などの要素技術を駆使して車載用カーエアコン、ウォーターポンプなどの部品を製造しています。これらの製品は、国内外の自動車メーカーに供給され、様々な場所で活用されています。また、今後は、半導体装置用の部品や、航空・宇宙産業用の部品の製造にもチャレンジされていくとのことでした。

 今回インタビューを受けていただいた大石さんの言葉から浮かび上がってきたのは、経営課題に対して真正面から向き合い、アイデアと情熱で乗り越えてきた企業のリアルなストーリー。地域を愛し、環境を守り、技術を磨き続ける広島イーグルの挑戦から、今後も目が離せません。