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きたひろエコ・ミュージアム 平成30年10月

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月14日更新

休耕田に帰ってきた オミナエシ

都市部では「暦の上では秋ですが、相変わらず暑い日が続きます」といったニュースが伝えられているようですが、秋分を迎える八幡高原には暦通りの秋が訪れ、涼しい毎日が続いています。草原では短い秋を急ぐように草花が咲いています。

人日の節句にお粥として戴く春の七草はよく覚えられているようですが、秋の七草はなかなか覚えてもらえないのではないでしょうか。山上憶良が万葉集に詠った

秋の野に咲きたる花を指折り

かき数ふれば 七草の花

萩の花 尾花 葛花 撫子の花

女郎花 また藤袴 朝貌の花

という歌に七草の云われがあるようですが、やはり食用にしないことが覚えてもらえないひとつの理由なのでしょう。

一方で、秋の七草を見つけること自体が難しくなっているという事実もあります。広島県が2004年に発行した新しいレッドデータブックではキキョウ(朝貌)が順絶滅危惧種に指定され、フジバカマに至ってはもっとも絶滅の危険度が高い絶滅危惧I類に指定されています。これでは秋の七草がますます縁遠くなるばかりです。

こうした中、近年になってから、より身近にみられるようになった花もあります。ここ数年、八幡高原の休耕田ではオミナエシの群生を見ることができます。近代農業が廃れたことで、かつては身近だった草花が戻ってくるというのは複雑な気持ちですが、秋の花を愛でる気持は持ち続けていたいものです。みなさんの家の周りにも、そんな戻ってきた植物がありませんか?

高原からの花だより No.7
広報きたひろしま 平成17年9月号掲載

雲月山に咲くオミナエシ

芸北トレッキングガイドさんの花話

秋の七草でもある「オミナエシ」の名前は「オミナ」と「エシ」からできています。「オミナ」は美女という意味で、「エシ」はへし折る、押し倒すという意味です。つまり、オミナエシは「美女を圧倒する」という意味です。その理由は、この花の匂いにあります。機会があったらぜひ匂いを嗅いでみてください。

子ども達を案内するときにはクイズをしています。

(1)バナナの匂い (2)りんごの匂い (3)トイレの匂い

どの匂いでしょう?匂いを嗅いでみると絶対あたります!(正解は(3))

このオミナエシはいろんなチョウやハチが好んで飛んできて蜜を吸ったりします。カメムシの仲間も飛んできます。この虫を食べにカマキリもやってくるなど、いろんな虫が群がってきます。ということは、この花で生態系のバランスが取れているのではないかと思います。オミナエシがなくなることによって昆虫も少なくなるのかな、と考えています。

むかしの人はオミナエシの根っこを煎じて、熱さましや、腹痛止めの薬として使っていたと聞いています。

雲月山には高原の山で、高原に咲いている植物がたくさんあります。興味のある人はぜひ観察に来てください。

≪問い合わせ先≫
北広島町観光協会 芸北支部 芸北トレッキングガイドの会
電話 0826-35-0888


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