① 吉川元春館跡

今回は、豊平地域の海応寺・下石周辺に残る中世の石垣巡りです。
最初は、吉川元春館跡です。ここに、全長約80mもある雄大な石垣があります。この石垣は、ここらあたり独特の石組みがしてあります。立石が等間隔に並び、立石と立石の間には、石の最も狭い面が隣合うように横積みしています。これを築いたのは、「石つき之もの共」と呼ばれた石築き専門の職人集団です。こうした石垣は吉川元春館跡周辺や千代田地域にかけてたくさんあります。
この石垣は実は、目に見えない土の中にも秘密があって、裏側も表側と同じように面を以って積上げ、間に大量のグリ石が詰められた石塁状の作りになっています。

発掘したときに写した裏側の写真
出典:『いぶき 中世のひろしま No.24石垣のひみつ』(広島県教育委員会事務局 生涯学習部文化課 中世遺跡調査研究室)平成11年7月1日発行 1頁
② 松本屋敷跡

先ほどの吉川館跡から北西の方向に歩いて10分の所にある国史跡に指定されている「松本屋敷跡」です。これは吉川元春が奥さんのために建てた館と言われています。
先ほどの吉川元春館跡には及びませんが、それでも全長約67mもある立派なものです。
③ 土居ケ原屋敷跡

先ほどの松本屋敷から車で数分のところですが、下石の集会所近くにある石垣です。これは土居ケ原屋敷跡といわれています。
ここにも同じように「石つき之もの共」の築いた立派な石垣があります。この土居ケ原屋敷の住人はだれなのか、分かっていませんが一説によりますと、吉川家の親類衆の石氏ではないかといわれています。
こうした独特の石垣は、現在わかっているだけで町内に8ヶ所あります。

戦国期城下町「石」及び周辺の館跡一覧
出典:『史跡ハイキング 小見谷製鉄遺跡群現地解説会記録集』(北広島町教育委員会)平成30年3月発行 36頁
実は北広島町内だけでなく、宮島にも同様の石垣があり、また、広島城下堀川の普請もこの人たちが行ったことがわかっています。
今日その人たちの情報はほとんど伝わっていません。文献にはただ「石つき之もの共」と書かれているだけですが、優れた技術を持ち、要請されれば遠くにまで出かけて石垣を築いた人たちが、ここらあたりに住んでいました。そして、その人たちの作った石垣は440年たった今でもびくともせずに屹立していて、技術力の高さを伝えています。
皆さんもぜひここに来て「石つき之もの共」と呼ばれた人たちの石垣に触れてみてください。

出典:国土地理院ウェブサイト
※ この地図は、国土地理院発行の電子地形図(タイル)を複製したものである。※一部加筆
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