ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

きたひろエコ・ミュージアム 平成31年1月

印刷用ページを表示する更新日:2019年3月9日更新

思わぬ場所でのうれしい再会 フキ

晴れた朝の霜が次第に薄くなり、季節の終わりを教えています。立春を過ぎると、降る雪もやんわりと大きく、重くなり、積もってもすぐに溶けてしまいます。冬の長い八幡高原で気付いたのは、霜雪の変化が告げる冬の終わりは、春の予感とは別のものだということです。はじまりの季節、たとえばふきのとうが芽生える季節には、もう少し時間があるようです。

ふきのとうは、フキの花芽のことを呼びます。春になって雪が溶けると、多年草のフキは、まず花芽を地面の上に出します。ふきの天ぷらや、八幡の人が作るフキ味噌に使われるのは、この花芽です。花には雄株と雌株があり、地面のすぐ近くで花を咲かせます。花が終わると、雌株はグンと伸びてゆき、立夏のころには50〜60cmほどになります。

この頃になると、ようやく葉も大きくなってきます。茎は地面の下を横に伸びていくので、あまり見ることがありません。煮付けや佃煮にして食べるのは葉柄の部分です。ケーキの材料にするアンゼリカの代用材料にも使われます。また、葉柄は薬効があることも知られており、咳止めなどに使われます。なにかと使うところが多いフキですが、葉や茎には毒があります。料理をするときにあく抜きをするのはこのためです。また、家畜が食べないために放牧場で群生し、牧場主を困らせています。

5年前に北海道を訪れたとき、ラワンブキの保護区を見に行きました。北海道のフキは1メートル以上と巨大なのですが、3メートル近くもあるフキの群生は壮観でした。これらはアキタブキと呼ばれ、東北や北海道に分布しています。大きさは違っても、種としては同じフキです。

北海道を訪れた2年後、八幡高原で大きなフキに再会して驚きました。ラワンブキとまではいきませんが、葉の直径が1メートルほどもあるフキは、北海道で見たアキタブキの印象そのままでした。身近だと思っている自然の中にも、まだまだ知らないことがたくさんあると気付かされた出会いでした。

フキノトウ画像

高原からの花だより No.49
広報きたひろしま 平成21年3月号掲載

 

芸北トレッキングガイドさんの花話

みなさんご存知のように、フキはどこでも見ることができます。北は東北地方、南は九州に至るまで分布しています。

春早くに出てきますのがフキノトウです。フキノトウは地面からポッとでてきます。これがどんどん成長して花になります。フキは雄の株と雌の株があります。受粉をするとどんどん伸びていって、おしまいにはタンポポの綿毛のように飛んで行きます。

茎の部分は地上に出ることはありません。花が終わると次に葉っぱが出ますが、下の根茎でつながっています。一般的にフキと言っている部分は、葉柄(ようへい)といいます。葉柄とは葉っぱを支える柄のことです。この葉柄の役目というのは地面から水分を持ち上げますし、葉っぱで作った栄養分を下におろしていく役目を果たしています。私達が食べるのはこの葉柄の部分です。

フキのイラスト

話は変わりますが、私が子どものころに遊んでいた水車の話をします。水車つくりにはフキ花の茎の部分、花茎(かけい)といいますが、これを使います。葉っぱ(これは私がよく食べる葉柄のほうではなく花茎の方)を取ります。茎の端に切れ目を入れて茎の中になるべくまっすぐな枝を入れます。なければ竹串でもよいです。これを水につけますと両端が曲がって回ります。1人ではおもしろくないので、友達と一緒にどちらがよく回るかということで競争していました。これがとても楽しみで、田んぼのほとりの用水路につけて遊びました。それがいまの思い出です。

フキの水車 
イラスト提供 下杉孝

≪問い合わせ先≫
北広島町観光協会 芸北支部 芸北トレッキングガイドの会
電話 0826-35-0888


千代田中央公民館
〒731-1533 広島県山県郡北広島町有田1220番地1
IP電話 : 050-5812-2249      Tel: 0826-72-2249   Fax: 0826-72-6034