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きたひろエコ・ミュージアム 令和元年10月

印刷用ページを表示する更新日:2019年11月20日更新

ふるさとの昔話 猿聟入(さるむこいり)

今回の民話は『猿聟入り(さるむこいり)』です。
これは、全国各地に似たような話がある、大変にポピュラーな民話ですが、地域ごとにいろいろなバリエーションがあって少しずつ内容も違うようです。今回紹介するものは、町内の豊平地域で採話されたものです。
民話には、いろいろなジャンルがありますが、これは『異類婚姻譚(いるいこんいんたん)』とよばれるものです。異類婚姻譚というのは、人間と動物とが結婚する話です。この民話も人間の娘と猿の結婚がテーマです。
ところでこの話は、正直言って理不尽です。
民話というのは、大かれ少なかれ、人生の大切なことを語ってくれるものですが、いったいこの話が、私たちに何を伝えようとしているのかよく分かりません。それなのに、この民話が全国各地で広く、かつ古くから語り継がれてきたのには、それだけ面白さがあるということです。いったいこの民話の面白さはどこにあるのか、そんなことも考えながら読んでみてください。


猿聟入 [PDFファイル/278KB]
※ 無断転用を禁止します。

さるむこいりイラスト

(以下、ネタバレ注意)

サルが娘を嫁に欲しいと言ったのは、畑の耕作という労力に対しての対価です。しかも最初にそれを言い出したのは人間の方です。猿はその約束を守ってほしかっただけで、決して無理難題を言ったわけではありません。
二人の姉が「猿との結婚なんか嫌だ」と拒否したのも、いわば当然の反応で、決して自分勝手と言うほどではありません。
一方猿は、末娘の要求を全て聞き入れたのに、最後は末娘の計略にまんまとひっかかって命を落とすわけですから、どう考えても悪いのは猿ではなく人間の方でしょう。猿から言えば可哀そうな話です。
結局、猿というのは、人間に害を与える悪い動物なので、その猿を、親思いの末娘が知恵を働かせて退治したということでしょうが、後味の悪さも残る民話です。


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