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きたひろエコ・ミュージアム 令和元年8月

印刷用ページを表示する更新日:2020年5月7日更新

はじける個性 ツリフネソウ

空の青さを追いかけるように、八幡高原の木々も葉を色濃く茂らせています。この時期、緑陰のハンノキ林床では、鮮やかな草花がいくつか見られます。中でも、特徴的な形をしているのがツリフネソウです。

ツリフネソウは湿った環境を好む1年草です。つり下げられたように咲く花を舟に見立てて名前が付きました。春に芽生えた株は、暑さの盛りに咲きはじめ、秋の風を聞くころまで次々に花を付けます。花の時期が長いので、1つの株に種と花とつぼみが突いていることも珍しくありません。

虫の目線で見ると、茎からぶら下がるように咲く花には、降り立つのに都合良く花弁が付き出しています。花の後ろの細く巻いているところに蜜があるので、着地した後に中に入っていけば、蜜にたどり着けるようになっているのです。このとき、ちょうど虫の背中が触れる天井部分には、ツリフネソウの雄しべと雌しべがあります。虫が出てきた時には花粉がしっかりと付いて、他の花に運んでくれるという作戦です。しかし、時には後ろから囓られたり、長いストローで蜜だけ盗られたりと、作戦がうまく行かないこともあるようです。ツリフネソウの特徴的な花は、様々な昆虫との長い知恵比べから作られたのでしょう。そして、その知恵比べは今も続いているようです。

無事に花粉を受け取り、種を付けたツリフネソウの次なる課題は、種を遠くへ運ぶことです。綿毛を付けて風に託すもの、おいしい実を鳥などに食べてもらって運んでもらうもの、動物の体にくっついて運んでもらうものなど、動けない植物は様々な工夫をしています。そんな中、ホウセンカの仲間であるツリフネソウの熟れた果実は、わずかな刺激を受けただけでも、はじけて種を飛ばします。個性的な花は、その実も個性的でした。

ツリフネソウの画像

高原からの花だより No.66
広報きたひろしま 平成22年8月号掲載

 

芸北トレッキングガイドさんの花話

ツリフネソウのことについて説明します。ツリフネソウは、東アジア一帯に分布しています。日本では北海道・本州・四国・九州に分布しています。川のそばや湿地にはえている植物です。八月の暑い時期に咲きはじめ10月くらいまで咲いています。低い山から八幡(800mぐらい)のような高いところまで咲いており、特にめずらしいものではありません。

花はとても面白い形をしています。花びらがありずーっと筒になっていて最後がくるくるっと回ってゼンマイのようになっています。ここを専門用語で距(きょ)といいます。ここの中にハチが入って蜜を吸います。くるくるっと回ったとこに蜜がありますのでハチが入って蜜を吸って出てきますが、普通の花は、中でUターンをして出てくるわけですが、この場合には中が狭いので中に入るとハチがバックしてくるという、非常に面白い特徴があります。

ふつう見かけるツリフネソウは紅紫色をしています。そのため、ムラサキツリフネソウとよんでいます。このほかにシロツリフネソウ、キツリフネソウの二つがあります。シロツリフネソウは白い色をしていて、キツリフネソウは黄色い花をつけます。この二つについてはめったに見かけることはありません。今から40年くらい前に恐羅漢に行く途中の橋の下で3つのツリフネソウが一緒に咲いているのをみました。今でもその美しい光景を忘れることができません。

 

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電話 0826-35-0888


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