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きたひろエコ・ミュージアム 令和2年6月

印刷用ページを表示する更新日:2020年6月30日更新

八幡の夏を飾る花 カンボク

苅尾の山肌が萌葱から新緑に変わる頃、八幡高原のそこここでカキツバタの花が開き始めます。牧野富太郎を感激させた風景を再現した「カキツバタの里」は、もはや全国的にも知られるようになりましたが、八幡高原を飾るもう一つの銘花として挙げ
たいのがカンボクです。

カンボクの花  


カンボクは湿原や谷筋に見られる落葉低木で、高さは5~6mほどになります。中部以北の内陸部や日本海側に主として分布し、広島県ではあまり多くありません。八幡高原では湿気の多い谷筋や牧場の跡地などにごく普通に見られます。アサガオの葉に似た形の3裂する葉が対になって付くのが大きな特徴で、これだけで、花の無い時にも株を見分けることができます。
花はカキツバタと同じように小満の頃から咲き始めます。実を作る両性花のまわりに大きな装飾花を付ける様子はヤマアジサイやガクアジサイに似ていますが、ユキノシタ科ではなく、スイカズラ科のガマズミなどに近い仲間です。大きな白い花を付けて楚々とした姿は、雨に煙る日にはことさらに美しく、静かな雰囲気を感じさせます。梅雨が明けるころにはすっかり花を落としますが、秋口からは果実が赤く色づいて、また別の姿で目を楽しませてくれます。熟して透明になった実が垂れ下がったところに雪が積もった様子も趣きがあります。この赤い実はいかにもおいしそうなのですが、鳥や動物に食べ尽くされることもなく、いつも冬まで残っています。ガマズミの実は酸味があっておいしいのですが、カンボクの実は口に含むと臭みと苦味を感じるので、鳥たちも嫌いなのでしょうか。ただ、冬の間には実が無くなるので、やはり餌になっているようです。
千町原には、人が使わなくなった草原にカンボクが群落を作っています。この群落も、長い年月の間には林へと置き換わっていくことでしょう。人のいとなみがもたらす移り変わりのなかで、たくさんのカンボクが咲く風景と、私たちが今生きている時間とが重なったことに不思議な巡り合わせを感じます。


高原の花だよりNo.28
広報きたひろしま 平成19年6月号掲載

 

撮影を終えて

「一粒で二度おいしい」というのは、アーモンドグリコのキャッチフレーズです。これがすぐ分かった人は、おそらく50歳以上の人でしょう。
カンボクは、「一年に二度楽しめる」植物です。いや三度かも。

カンボクの実 カンボクの冬の実
初夏には、白い、ガクアジサイのような花が緑の葉の上にちょこんと乗っかり可憐です。秋になるとその花がすべて赤い実に変わり、たわわに実った赤い実と緑の葉のコントラストが実に鮮やかです。

しかしその赤い実はあまり美味しくないのでしょうか、小鳥も食べません。そのまま冬になって、赤い実に白い雪がふわりと乗っかかっているのも「いとをかし」です。
カンボクを漢字で書くと、肝木。昔、薬として利用されていたとかで、その名残のようです。
それにしても、この植物は、八幡ではいたる所にあるのに、不思議に八幡以外の場所ではあまり見かけません。
今回は、芸北トレッキングガイドの、宮本さんに説明していただきました。

撮影風景

 

≪問い合わせ先≫
北広島町観光協会 芸北支部 芸北トレッキングガイドの会
電話 0826-35-0888


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