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きたひろエコ・ミュージアム 令和3年11月

印刷用ページを表示する更新日:2021年11月30日更新

小さな花が歴史を語る サクラソウ

サクラソウ1

広島県内で最後の桜は、穀雨を過ぎる頃に八幡高原で見ることができます。遅い春の風に舞い散るはなびらを見送った後、足下に目を移すと、もう一つの桜、サクラソウが咲き始めます。
サクラソウは、かつては日本全国で見られたようですが、乱獲や開発によって生育地は激減し、今日では国と県の両方が絶滅危惧種に指定しています。数十年前、八幡の山中にもサクラソウが咲いているのが見つけられました。2003年にその同じ場所を訪れると、植林がなされ、とてもサクラソウが生育できる環境ではありませんでした。しかし、サクラソウ発見時に八幡の方が1株だけ持ち帰り、大切に育てていたので、八幡のサクラソウは途絶えずに残されました。
残された株を調べてみると、とても興味深いことが分かりました。八幡のサクラソウが持っている遺伝子は、広島県や岡山県、鳥取県など中国山地のサクラソウとは全く異なり、埼玉県のサクラソウと同じだったのです。さらに、鳥取県の民家からも同じ遺伝子を持つサクラソウが見つかりました。これらは何を意味するのでしょうか?
八幡では、明治時代の初期までたたら製鉄が営まれ、島根県から砂鉄が運ばれていました。サクラソウが見つかったのはたたらに携わる人が住んでいた場所であり、おそらくは持ち込まれ、植えられたものでしょう。八幡のサクラソウが語るのは、江戸時代の物流の中で、サクラソウを育てるという文化が遠く埼玉からこの八幡高原まで運ばれたという歴史です。小さな花は言葉こそ発しないものの、その存在自体が、私たちの祖先がこの地に築いてきた歴史を実証しています。

サクラソウ2

北広島町内には、八幡以外にも固有のサクラソウが自生しており、そこでも地域の方が大切に環境を守ろうとしています。自然の歴史を繋ぐことと、人の歴史を繋ぐこと。それぞれの地でサクラソウが持つ意味は違いますが、根底にあるのは花を愛でるという単純で純粋な気持ちなのかもしれません。

高原の花だよりNo.27
広報きたひろしま 平成19年5月号掲載


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