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きたひろエコ・ミュージアム 平成30年4月

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月14日更新

霧ヶ谷の春を治める コブシ

幾度繰り返し見ても、春の訪れは不思議なものです。真っ白だった苅尾山(臥竜山)は、萌葱の山へと姿を変えてゆきます。雪が解けて木々が芽吹くまでの僅かな間、山は、霞の向こうに黒く沈みます。衣替えでもしているような穀雨の頃、コブシはぽつりぽつりと苅尾の山裾に咲きます。

コブシは大きなものでは15m以上にもなる落葉広葉樹です。八幡高原では高原の自然館周辺にたくさん見られます。「きわめて早く現れるモクレン」とラテン語の名前が付けられているように、雪国に、いち早く花を咲かせます。葉よりも先に花が開くため、花の時期には遠くからでもよく目立ちます。広島市近郊でも、山の中に似ている花を見ることがありますが、標高の低いところでは近縁のタムシバであることが多いようです。花の時期であれば、コブシの花には開花と同時に1枚の葉が付くので両者を見分けることができます。モクレンの仲間は体に精油成分を持つものが多く、葉や花弁をもむと良い香りがします。飛騨高山の名物として有名な朴葉味噌(ほおばみそ)は、この特性を活かした料理です。

コブシの花が咲く様子を見ていると、年によって花の付き方にばらつきがあるようです。春一番に花を咲かせる植物は、花のための栄養を前年までに蓄えておかなければなりません。夏の終わりには冬芽を作りはじめるので、花の数を決めるのはその時期です。花の作りすぎはエネルギーの無駄になり、少なすぎては有効な繁殖ができないかもしれません。翌年の天候も分からないのに、どうやって花の数を決めているのかを考えると、とても不思議な気がします。

湿原の自然再生事業が進められている霧ヶ谷には、一本の大きなコブシがあります。湿原の再生が進めば、この銘木を見に訪れる人も増えることでしょう。繰り返す春の訪れのたびに湿原の変化とコブシの花付きを確かめ、自然の変化を感じることは、毎年の愉しみになりそうです。

高原からの花だより No.38
(広報きたひろしま平成20年4月号掲載)

コブシの画像

 

芸北トレッキングガイドさんの花話

コブシとよく似た花にタムシバがありますが、芸北にあるのはほとんどコブシです。見分け方は花の根元に葉っぱが1枚ついているかどうかです。葉っぱがついているのがコブシで、花そのものでは見分けがつきません。芸北は高いところにあるので霜が降りやすく、花に霜が降りるとすぐダメになってしまいます。モクレン科の花で非常に香りが強いですが、においはタムシバの方が少し強いです。同じモクレン科にホオがありますが、これを使った料理に朴葉味噌(ほおばみそ)があります。これはホオの香りを利用したものです。

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北広島町観光協会 芸北支部 芸北トレッキングガイドの会
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