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きたひろしまをDeepにしろう!大朝編

印刷用ページを表示する更新日:2018年10月26日更新

テングシデ群落・熊城山を歩こう!

西中国山地を愛する多くの登山仲間からバイブルのように読み続けられてきた故桑原良敏先生の名著『西中国山地』は,次のような書き出しで始まります。

櫛山 クシヤマ 1002メートル独標峯 『志路原』

広島県の大朝町,豊平町,芸北町の三町にまたがるこの山が一〇〇二メートル標高の山であることを知ったのは,最近出た三色刷二万五千分の一図を見たためである。旧黒白五万分の一図からでは,千メートルを越える山とはとても読みとることができなかった。
「西中国山地」 (著者 桑原良敏、発行社 株式会社渓水社)より引用

座学の様子 熊城山登山の様子 登山の様子

西中国山地を隅々まで知り尽くしておられる桑原先生ですら,櫛山(丸掛山)が千メートルを越す山であることを知らなかったと述懐されるほどに,これまでまったく注目されてこなかった山です。

一方,櫛山に連なる,櫛山から直線で約1kmほど北にある熊城山(998メートル)の方は奇岩に囲まれ,麓にはテングシデ群落地を抱え,さらには芸北地域と大朝地域を結ぶ最短峠として知られてきた山です。昭和62年には,「山村地域総合整備事業」で遊歩道が整備されて,熊城山全体が自然公園として計画されてきました。

古くから親しまれてきた熊城山と,まったく無名の櫛山(丸掛山)。今回のディープはこの二つの対照的な山の縦走をしました。

参加者は,募集人員いっぱいの25名。スタッフの9名を合わせると34名の大所帯になりました。今回は,町外(鈴張方面)からの参加者が多く,こうした取り組みが,北広島町の新しい魅力発信につながればいいと思います。

今回のコースは,眺望はあまり良くありませんでしたが,秋晴れの好天の下,大きなブナの林の木洩れ日の道や,紅葉しかけたマンサクの並木道を心地よく散策することができて参加者も大いに満足していただけたことと思います。

大変大きなブナの木を見上げています 丸掛山頂上

午後は,国指定の特別天然記念物テングシデ群落地を散策しました。

ここのテングシデ群落が今日まで残ったのは,科学的というよりむしろ民俗学的な理由の方が首肯できます。つまり,このように異形の木を切ると,祟りがあると昔から怖れられてきました。切ったり,折ったりはもちろんのこと,触れることさえ忌み嫌われました。それがこのような遺伝的性質の樹を今日まで残してきた大きな理由です。

しかし,最近になって,曲がりくねった木の枝が作る「ハート型空間」を見つけると幸せが訪れるというパワースポットとして注目されてきました。もちろん,単純な都市伝説ですが,負の伝説が新たな正の伝説に逆転してきたのは興味深いことです。

テングシデの葉が散り始めています。


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