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町花・町木

印刷用ページを表示する更新日:2018年4月1日更新

北広島町の町花

ササユリササユリ
拡大画像(左)

ササユリ

 梅雨の湿気に乗って強い香りを放つのがササユリの花です。ラテン語で「日本のユリ」という名前がついていますが、分布は中部地方より西に限られます。
 近畿地方よりも北には、花弁に斑点のあるヤマユリが分布しています。ユリの仲間は地下に鱗茎をつくりますが、これがいわゆる「百合根」で、古くから食用にされてきました。百合の仲間はたくさんの種を作りますが、一粒の種の中には芽を出すのに必要なわずかな栄養しかありません。そのため、芽生えたばかりのササユリは、その年に花を咲かせることはできません。それどころか、最初の花を咲かせるのに十分な栄養が貯まるまでには7年から8年かかると言われています。さらに、まわりが籔になり、暗い環境になると、花を咲かせなくなってしまいます。鱗茎に蓄えた栄養を無駄にしないために、小さな葉を1枚だけ付けて、明るくなるのを待つのです。
 この写真の株は大きな花を6つも付けていますから、鱗茎はかなり大きくなっているはずです。ササユリは深山ではなく、草刈りがされるような人里に咲く花です。

(広報きたひろしま 2006年7月号から引用)

 北広島町内のどこでも見られたと記憶のあるササユリですが、現在では、群生している場所もあれば、「ここにも咲いているね。」と通りすがりに、また、草刈をした後に気付くように、突然現れる(実際はそこに長い間いるのですが)こともあります。 町の花として改めて大切にする気持ちが湧いてくるような気がします。

北広島町の町木

テングシデテングシデ

テングシデ

 北広島町田原に群生するテングシデは秋には落葉し、幹や枝の屈曲したシルエットを見ることができます。この地域に語り継がれた「炭焼きと天狗の話」などから、くねくねと曲がった幹や枝に「天狗が来てとまる。」と言い伝えられ、「天狗シデ」と呼ばれるようになり、大切に守られてきました。
 テングシデはカバノキ科、イヌシデの変種です。イヌシデは関東以西では普通に見られる落葉樹で、幹は真直ぐにのび、町内にも自生しています。テングシデはねじれる、しだれるなどの劣性の遺伝子を持ちながらも、植物に必要な太陽の光や水・土などの条件が整えば、世代交代を可能にし、今日の状態になったものと考えられます。柳や桜など種類によっては「しだれる」木はあるものの、幹まで曲がりくねった木はきわめて珍しく、大変貴重なものです。
 通称「天狗シデ」と書きますが、植物名としてはカタカナで「テングシデ」と書き、北広島町田原字灰谷の熊城山東斜面の標高約650m付近に位置し、「大朝のテングシデ群落」として、2000年(平成12年)に国の天然記念物に指定されました。1998年(平成10年)の調査では、指定地内に108本が確認されており、現在は大小あわせると、140~150本以上あると思われます。
1991年(平成3年)の台風により倒木した木をサンプルに推定すると、樹齢はおよそ140年(平成22年現在)で、1870年代前半に発芽したものと思われます。指定地内にある一番大きな木は、石碑の正面にある大木で、周長約3m、樹高およそ16mあります。