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田の神サンバイと神事・水口のエブリ

印刷用ページを表示する更新日:2018年4月1日更新

田の神サンバイと神事

神事のしつらえ〈大花田植・大朝〉 花田植の主目的は田の神に豊穣を願うことです。
 芸北地方では、田の神を「サンバイ」と呼び、「三拝」「三祓」などの字が当てられることもあります。その名の由来は不明ですが、「五月蝿をはらう」「三把の苗」などの音からという説や、「三柱の歳神」や「三度神」を祀ることを指すという説もあります。
 昔は、花田植に限らず田植の季節になると、田の神がやって来て作業を見守り、それが終わるとまた去って行くと考えられていました。この神は、田の神の他、時期により歳神・七夕神・山の神になるという伝承もあります。
 江戸時代に書かれた『芸藩通志』には、安芸地方の風俗として、田植の前に行われた「さんはい祭」の姿が記録されています。「田の畔や水口に幣を立て竹で囲いをして設けた場所に農具を並べ、柏や桐の葉に盛った飯と瓶に入れた酒を供え、作業にあたる男女がそこで田囃と田植歌をする」ということが書かれています。
 また江戸時代の別の記録には、その時すでに絶えていたとしながら、昔は苗三束に素焼の器に入れた酒を供えていたようだとの記録もあります。
 これらの記録を見ると、田植の作業にあたる人たち自身により、田の側で神事が行われていたようです。
 現在の花田植では神事をしないところもありますが、関係者が地域の神社に参ったり、神職による神事が行われたりすることもあります。
 サンバイは神社などに常駐せず、季節に去来する性質を持つ神ですが、現代の「神=神社」という認識が加わった形で、新しい「花田植の神事」が行われているようです。

さんばい祭

水口のエブリ

ムナクトのエブリ〈壬生の花田植・壬生〉 花田植の最後に「えぶり」を逆さに立て、三束の苗を載せるしつらえが見られることがあります。
 昔は、花田植に限らず、田植の終わりにはムナクト(水口)や苗代田にエブリを立てたといいます。
 これは田植を見守っていた田の神の居場所になるといい、半夏や七夕などの決まった時期になると、神はここから移動すると考えられていたようです。

エブリ