田植歌にも出てくる「チシャもみ」は、チシャの葉を酢に和えて、焼いた鯖などの身を混ぜた、中四国地方の郷土料理です。
昔の花田植(大田植)は、朝早くから夜遅くまでかかったといい、その間には食事やお茶(軽食)がふるまわれました。大地主が主催するものともなれば、出演者も多く、食事の支度も大変だったようです。
記録に見られる定番の食べものとには、丸い握り飯に黄粉をまぶした「黄粉むすび」や、黒豆入りの塩むすびがあり、田の中でも食べられるように朴の葉で包んで配られました。
所によれば花田植の握り飯は「サンバイ」「サンバイ飯」という名前でも呼ばれています。この季節ならではの郷土食であるとともに、儀礼的な田の神への供物・田の神との共食にも繋がるものかもしれません。